125bit # 美味しい!
「糸っちは何を飲むか決めた?」
「私は……ホットココアを」
「お子さまだなぁ糸っちは」
「お子さまじゃないっ!」
「私はその隣のキャラメルカプチーノにしよーっと」
「私は抹茶フラペチーノを飲もうかな」
「……テデザリゼ一択ね」
「まーた真衣ちゃんはメニューにない謎ドリンクを頼もうと……ってある……」
「まったく、雛乃は失礼ね」
「でも真衣ちゃん、それは夏限定みたいだよ」
「……ありがとう英美里。 じゃあ私はキリマンジャロコーヒーにする。 糸とは違って砂糖とミルク抜きで」
「真衣ちゃんまでっ!!」
「なんか私たち……JKやってる!」
カフェでまったりと他愛もないガールズトーク。
そんなありふれた日常のワンシーンが、雛乃の大好物だったりする。
「ご注文をお
オーダーを済ませた後も、四人は
やがて、順番に飲み物が運び込まれ、テーブルはより一層華やかになる。
「あ、みんな飲む前に少しだけ待って」
そう呼び止めたのは糸だった。
糸はおもむろにスマホを取り出し、アプリを開く。
そして、豪勢なテーブルが
「わんっ」
糸のスマホが子犬の鳴きマネをする。
「もう大丈夫! ありがとうみんな」
「糸っち……JKっぽいね」
「いやJKだからね?! 写真撮影がOKな場所で食事をするときは、こうやって撮っておくことにしてるんだよ。 人によって目的は様々だけど、私は記録用かな……んー! ホットココア美味しいぃ」
糸の表情がむにゃむにゃととろけていく。
「さっきのシャッター音から察するに、糸っちの使っているアプリは『ハッシュタグ』機能が使えるはず」
「ハッシュタグ?」
「簡単に言えばキーワードを目立たせる機能だね。 この機能によって、キーワード検索が効率よくできたり、過去の投稿をまとめやすくすることができる。 ほら、糸っちもこんなマーク見たことない?」
雛乃は空中に縦棒と横棒を二本ずつ垂直に交わるよう描いた。
「ああそれね! もちろん私もちゃーんと使っているよ。 私のJK力、みせてあげる!」
厚手のマグカップを置き、再びスマホを手に取った糸は、軽快に文字を打ち込んだ。
その隣で、雛乃は糸の発言に対して
はたしてあの糸っちがハッシュタグを使いこなせているのだろうか……。
怪しい……。
「よし、これでいいかな。 じゃん! 手慣れたものでしょ?」
糸が三人に向けてスマホの画面を披露する。
スマホに映し出されていたのは、日常を
今日はみんなでカフェ!
私はホットココアを頼んだ!
丼 美味しい!
「これだと定食屋さんだよぉぉ!!」
雛乃、渾身の一撃を喰らわせる。
「……へ?」
糸、気づいていないためノーダメージ。
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