第2章 IT IS STAR.

40bit 髪の短い女の子


 「英美里ちゃん、どうやったら文字を早く打つことができるの?」


 糸はローマ字表を眺めながら、隣に座っている英美里に尋ねた。


 「ブラインドタッチの練習をするのも大切だけど、あとはショートカットも秘訣だよ」


 「え!! そうなの?!」


 「う、うん。 糸ちゃんは、ショートカットの種類で知ってるのある?」


 「ショートカットの種類……? あんまり知らないかも……」


 「じゃあ、例えば……」


 英美里は糸の席に近づき、キーボードに手をかけた。


 「Ctrl + C で特定の文字をコピーすることができるんだよ。 そして、Ctrl + Vでコピーした文字を別の場所に貼り付けることができる。 これを応用すると同じような文を打たなければいけないときに、たった2ステップで打ち込みが終わるの。 かなり時間短縮でしょ?」


 英美里は言いながら、糸の画面に実演してみせた。


 「すごい、本当にまったく同じ文章が打てている……今まで頑張って打ち込んでいた努力は……」


 「さ、さすがにコピーできる文章がなければこの方法も使えないし、そのときは地道に打ち込んでいくしかないから、糸ちゃんの努力は無駄じゃないよ」


 一瞬で長文を完成できる技を目の当たりにし落ち込んでいる糸を、英美里は慌てて慰める。


 「ちなみにこの操作をコピー&ペースト、略してコピペと言って。 他にも様々な種類があるから試してみるといいよ」


 「英美里ちゃん、なんでも知っているんだね。 だから短い髪型なのか……。私も髪を短くしたらパソコンのスキルが上達するんだ……美容室予約しようかな」


 「髪を短く? 糸ちゃんのショートカット姿も可愛いだろうね」


 「そうかな~」

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