目には目を。

 歯には歯を。


 歴史の教科書で習ったハンムラビ法典にあるとされる「条文」の一節だそうです。


 条文の中にはツケの支払いなどについて記されたものもあり、この法の定める範囲は多岐に渡っています。


 これは「同身分」の者のを歯を折れば、加害者の歯も折る。同様にして骨折させたのなら加害者の骨も折られる。といった身分についての縛りはありますが、当時としては画期的な法だったと教えられました。


 と言うのも、これは「復讐法」ではありますが過分の復讐を戒めているからです。


「目には目を」であって「目には」ではないのです。




 ところで、この復讐法についてですが、加害者が複数の人を殺めていたらどうでしょうか。


 加害者の命は一つしかありませんので、殺す命が足りません。


 では、加害者の親族の命を奪うのでしょうか。加害者の罪はその罪に手を染めてもいない親や子や配偶者にまで及ぶのでしょうか。ただ血族だと言うだけで無関係の罪によって命を奪われるのでしょうか。


 ここに復讐法の限界がある、と私は思います。腕も脚も耳も目も二つずつしかないのですから。




 今、世間の耳目を集めている事件があります。



 どうか少しでも多くの人々が過剰な復讐心に煽られないよう願っています。



 罪を裁くのは司法であって情緒ではないのです。


 法の裁きが不満だからと言ってリンチにかけるのは不法行為です。


 一人一人が応分の怒りを加害者にぶつければ、それはまるで石打いしうちの刑のようにして相手を残酷に、そして容易たやすく殺すでしょう。それがリンチなのです。


 それと、話は戻りますが、犠牲者が一人だった場合でも「傷害致死や殺人には即ち死刑を」というのも復讐法上だけで考えれば至極真っ当な話ではあります。ただしこれは今我々が生きている世の中の現代法下では成立しません。

 先ごろ日本犯罪史を塗り替える殺人事件がありましたが、それほどの大事件であれば話は違ってくるのでしょうが。


 その辺りも書こうかと思ったのですが、もの凄い疲れるのと、荒れてしまったらやだなと言うのがありまして、これ以上は踏み込まないでおきます。

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