第95話 美悠の部屋で二人きりのお話
部屋を替えて・・・・
ってここは
リビングから替えた部屋は美悠専用の部屋だった。
自分専用の部屋に自然に完備されている
冷蔵庫と食器棚
この部屋だけでも
余裕で一人暮らしできちゃいそうだ。
「はい、どうぞ♪」
「ありがとうございます!」
出てきたのはお茶・・・って
抹茶だ。
抹茶大丈夫?」
「はい、この苦みが好きです!」
「あら、良かった。
茶葉から結構こだわっちゃほど抹茶好きで。」
本当に育ちのいい美悠のことを尊敬する反面、
これから話すことは決して褒められるようなものではない。
俺たちの身勝手な行動による話だからだ。
大丈夫だろうか?
八千草姉さんは気分を害さずに聞いてくれるだろうか?
やっぱり八千草さんがいた方が良かったのでは・・・・
「タロちゃん?」
「あ、すみません。
では、八千草姉さん、
本題の話に移ってもよろしいでしょうか?」
「あ、・・・
はい!!」
「八千草姉さんには全部正直に話しますので
答えられる範囲で構いませんので教えてください。」
「分かったわ」
「それでは、まず始めにお詫びしなければいけないことがあります!」
スヤスヤ・・・・
ホーホケキョ♪
「えーと・・・
うん・・・
あ!!」
八千草咲苗、夕刻に目を覚ます。
「あれ?タロちゃんは?
お姉ちゃんは?」
辺りを見渡すと
テーブルに咲苗宛てのメッセージが残されていた。
「咲苗ちゃんへ
今日、お昼頃にタロちゃんが家に来たわ。
話のことに関してはまた後で教えてあげるからね。
タロちゃんの見送りだけしてきます。」
美悠の文字によるメッセージだ。
咲苗は起き上がると
流川に行き先を聞き、
八千草高級専用車に乗って駅へと向かった。
「八千草姉さん、今日は色々と良くしていただいたのに、
不躾な質問も多く失礼しました。」
「ううん、タロちゃんの言葉から私たちのことを心配してくれての
ことだって分かってるから大丈夫よ。ねぇ、タロちゃん?」
「はい」
「私が言ったことは、これだからね」
口元に人差し指を立てた。
「はい、約束は必ず守ります。
でもどうして俺なんかにそんなことを?」
「それはね・・・」
そして、電車の時間が来た。
「それじゃあ、また遊びに来てね♪」
「あ、はい!ありがとうございました!!」
美悠に手を振られて、照れくさそうに手を振り返す太郎は
電車とともにその場を後にした。
進みゆく電車を眺める美悠の後ろ姿を見つけた
早苗は、専用車から降りて走って向かう。
「お姉ちゃーん!!」
「あら、早苗ちゃん♪」
「あれ、タロちゃんは?」
「たった今電車で行っちゃったわ!」
「間に合わなかったか~!!」
悔しがる咲苗に
「早苗ちゃん、タロちゃんはね
勇気を出して一人で家に来て、
聞きたいことを聞いていったわよ。」
美悠の言葉に
「そうだったんだ♪」
安堵する咲苗。
「咲苗ちゃんここまでどうやって来たの?」
「流川さんに送ってもらって!!」
指さした先で専用車に乗って流川が待機している。
「あらあら、流川さんを待たせるのは悪いわね。
帰りましょっか♪」
「うん」
「あ、そういえば、早苗ちゃんの寝顔
タロちゃんも見てたわよ♪」
「えーーー!!恥ずかしい!!!!」
「早苗ちゃんのこと子猫みたいで可愛いって♪」
「ちょっと、お姉ちゃんのいじわるーー!!!」
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