第75話 応援団チームの土俵

孝也は楽器隊ではなく、

フレフレ隊として楽器隊の後についてグラウンドへと入っていく。


グラウンドの活気が青々と増していく。



曲も終盤


繋がっていた楽器隊は分裂を始め、

グラウンドに散らばった。


先ほどまで踊っていた

スクリーンから飛び出してきた者たち

ダンスチームの一部は曲が終わり、姿を消した。



「ドドン ドンドン」


「フレー、フレー 青組」


グラウンドは応援チームの土俵となった。



シンプルな動きと応援だが、

シンプルの中に一人ひとりが彩る青の動き

そして

先ほど映して、突き破られていたはずのスクリーンが

再びきれいに蘇り海の映像とともに融合されていく。


裏方での設置班による迅速な張り替えが行われていたのだ。


海がもたらす不動な存在感を応援団は沖縄舞踊を交えて表現していく。



赤組とはまた違った

「力強さ」の青い火が観ている者に灯り始めていた。




青い火が観る者たちに灯りかけていく


そんなとき


現れる


さらなる


大きな青




「ジャッジャジャー、ジャッジャジャー♪」



ギター音が鳴り響く。


ギターリスト二名

ベーシスト一名

ボーカリスト一名が演奏しながら

グラウンドへと向かってくる。


なんとも不思議な光景


普通バンドというのは

ライブをするにしても

ライブ会場や路上など止まってするもの



しかし、このバンドは

グラウンドに向かって歩きながら

演奏している。


そしてそのバンドの周りから

勢いよく出てくるダンスチーム


駆け抜けていく者

バク転をする者

スキップをする者

四股を踏む者

馬跳びしてくる者



いったい何が始まるというのか



バンドの全員が帽子を深くかぶっていて

顔をはっきりと伺うことができない。


四人組バンドの後ろからは

ギターなどをつなげた音の源

アンプを台車に乗せて

ゆっくりと運ぶスタッフの姿が。

そのスタッフだけ帽子を浅くかぶっていた。


よく見ると

そのスタッフは、太郎だった。



「タロちゃん、お願いがあるんだけど」


「お願い?」(なんか嫌な予感するけど)


「うん。

タロちゃんにもパフォーマンスに出てほしいの!」


「え?」(予想外の展開)


まさかダンスに・・・・(膨らむ期待)



って、その結果がこれかーい。

美名城先輩は本当に人遣いが荒い。

まぁ、それは今に始まったことではないか・・・

何が、

「タロちゃんにしかお願いできないことなの♡」

だよ。

こんな力仕事、完全に人選ミスだろ。



スタッフとして出てきた太郎に気付く高坂


「なんか辛そう・・・」


そういえば体育祭の始まりでも

バテてテント下に来てたもんね。


何だか嬉しそう辛そうな太郎を見つめる高坂だった。



そしてこの後

パフォーマンスは大きく転換していく。










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