第73話 華やかさ一色のパフォーマンス

元スーツ男に続いて

男たちはみんな黄色のTシャツに着替えて

女子たちのもとへと入っていた。


ドローン目線目線から観ると

グラウンドは黄色一色に染まっていく。


男女が黄色一色となり、

始まったのはフォークダンス♪


一人の女子への対応一つで

対立していたはずの男子と女子が

一体となって息ぴったりの

華麗なフォークダンスを披露していく。


フォークダンス中の音楽は

応援団たちによる太鼓の力強い音や

リコーダーやオカリナなどの優しい音が

場の雰囲気に合わせて作りあげていく。

音色の違いもまた、一体となって場を、ダンスを

華やかにしていく。



すると二機のドローンを利用して

上空に黄色い複数のハンカチを横一線に掲げた。

そこには「幸せ色いっぱいの黄組に勝利の女神あれ」

と一枚のハンカチに一文字ずつメッセージが書かれていた。


最後に上空を黄色いシャボン玉が舞い、


「みんなが黄色に包まれて幸せになれますように」


という放送で締めくくった。



色鮮やかなパフォーマンスと演出に包まれた会場には

観ている者もパフォーマンスを終えた生徒たちにも

自然と笑顔が広がっていた。




赤組は太鼓や踊りなどのパフォーマンスで「力強さ」を表現した。


黄組はストーリーと踊りなどのパフォーマンスで「華やかさ」を表現した。


青組のパフォーマンスは一体何を表現していくのか?



赤組のパフォーマンスが終わったときも

感じたことのない興奮を覚えた太郎たちだったが、

黄組のパフォーマンスが終わると

さらなる興奮とともに感謝の気持ちが芽生えていた。



これらは全て

先輩たちが築き上げてきたもの


そしてこれからは先輩たちと一緒に

俺たちが築き上げていくもの


体育祭の聖地 グラウンドから

澄み切った青空を眺める太郎たち一年生




「はじめるか」




青組の準備にざわめきが起きる。



青組スタンドに広げられた大きなもの。

その大きなものの周りを黒の仕切りが覆う。

それはまるで野外ライブ会場の様だ。


するとその大きなものの前には

これまた大きな滑り台が出現した。




赤組の高坂あかね、黄組の八千草美悠は

冷静にその様子を見つめていた。



「あの美名城先輩が、」

「あの夏帆ちゃんが、」

            「やろうとしていること。絶対何かある!!」



青組のパフォーマンスの始まりを知らせる放送が入る。


「それでは、これから青組のパフォーマンスの時間です。

みなさん、青組スタンドをご覧ください。」



青組スタンドには、他の組にはある看板はない。

看板はない、

しかし大きなスクリーンはある。



するとそのスクリーンから映像が流れ始める。



今と同じ時間帯だろうか。

陽がきれいに反射する

青々と広がる海満の海だ。



崖の上からの映像

ドローンからの映像

砂浜からの映像

色んな角度から海満の海が映し出されていく。



スクリーン越しに観ていると、

海満の海はこんなにもきれいだったのかと思う生徒たち。



砂浜からの角度で海満の海が

固定されて映し出されていると、

突然崖の方から

ゆっくりとあるものが入り込んできた。




あれは、





カヌーだ。




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