第五十五話 本当の強さ
そして、しばらくモジモジと身をくねらせると、ようやく口を開いた。
「実はビクニ……。ワタシは森で、あなたたちがグリズリーから逃げているのを見ていたのですよ」
どうやらリムは、森で私とソニックの
それから彼女は、そのときのことを話し始めた。
追いかけて来なくなったグリズリーが、モンスターに
すべて
「リムは一人
「ううう……。でも、
私が
そして私の目を、これまでにない
「そんなことはありません」
「へっ!?」
リムの
だって私は、あの子供でも
それで
それなのに、どうして……?
「ビクニは強いお人です」
「な、なんでそうなるの……? 私なんか弱いくせに
「いえ、リムは言ったでしょう? 最初から見ていたと」
彼女の言葉は止まらず、今度はソニックのことも話し始めた。
ソニックは私が助けに行くのを反対していたのに、結局手を貸した。
リムはそれを見ていて、私とソニックの
「
私は彼女に
私の
私は本当にダメな奴だ。
リムみたいに
「ビクニ。顔をお上げてください!」
突然
そんな私を見たリムは、
「自分の弱さを知っていながら立ち向かっていける……。ビクニは私の思い
「リム……」
それから――。
私の大きなあくびを見たリムは、気をきかせて部屋を出ていこうとした(こんなときにあくびする私って本当にバカッ!)。
きっと彼女は、私が
本当によく人を見ている子だよなぁ。
「ビクニ。今夜はリムとのお話に付き合っていただき、
引き
もうすっかり
彼女の表情は、いつもより見る顔よりも
「そんな……私のほうこそ楽しかったよ。ありがとうね、リム」
そして、彼女は「おやすみなさい」と言い、ニッコリと微笑んで部屋を出ていった。
その後に私は、とてもいい気分のままベッドに入り、
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