第33話 おてつだい大作戦②
「さて、ハルトくん、ユウマくん。ここからは時間がありません。なのでここからは、お兄ちゃんの指示に従ってもらいます!」
「おにぃちゃん、したがぅって、なんですか?」
「教えてもらった事を、ちゃんとするって事だよ。二人とも、出来ますか?」
「「はぁ~い!」」
「では、頑張るぞ~! エイエイ?」
「「「お~!」」」
あの晩、僕が考えたのはアイスクリーム。
オリビアさんは甘いものも食べたいって言っていたから、なるべく火は使わないで二人が安全に出来るものと考えたらアイスクリームが浮かんだ。
材料は砂糖を使わなくて済むようにバナナは皮が少し黒くなったもの、牛乳と生クリーム、
「では二人とも、準備はいいですか?」
「「はぁ~い!」」
しっかり手を洗って、二人はやる気満々。
「じゃあまず、バナナの皮と筋を取ってボウルに入れてください」
「おにぃちゃん、ばなな、くろぃです……」
「あ、これはねぇ、少し黒くなったほうが甘くてお砂糖が要らないんだよ」
「あまぃの?」
「ちょっと食べてみる? ハルトもユウマもお口開けて? ほら、あ~ん……」
二人とも可愛らしい口を開けて、バナナをパクリ。
もぐもぐと咀嚼すると、
「「ん~! あまぁ~い!」」
甘くて美味しいバナナを食べて元気になったので、この調子でどんどん作業を進めていこう!
「では! このバナナを入れたボウルに、リモーネの果汁と牛乳を一緒に入れてつぶしてください」
「ぼく、おさえるね? ゆぅくん、さき、どぅぞ!」
「ゆぅくん、がんばりゅ!」
ユウマはうんしょ、うんしょと一生懸命バナナを潰そうとするが、滑ってなかなか上手くいかず苦戦している様子……。
「ゆぅくん、ぼく、かわるね」
「はるくん、ありぁと!」
おっ! ここでお兄ちゃんのハルトが選手交代してバナナを潰すようです…!
果たして上手くいくのでしょうか…!?
……なんてやってる場合じゃないな。
「大丈夫? お兄ちゃん、代わろうか?」
「んーん、だいじょぶ!」
「はるくん、がんばってぇ!」
「がんばる!」
ハルトは器用に木べらをボウルの側面に当ててバナナを潰していく。これなら木べらの先が滑らずに、ある程度バナナを潰せるな。そしてバナナの形がどんどん無くなってきたところでまたユウマに交代。かなり滑らかになってきた。
「おぉ~! これなら大丈夫だよ! 二人とも、がんばったねぇ!」
「ゆぅくん、やったね!」
「うん! はるくん、ありぁと!」
次は一番の最難関…! 別のボウルに生クリームを入れて、ボウルの底を氷水に当てながら泡立て器で軽く泡立てる。
「これはかなり疲れると思うから……。お兄ちゃんがするね?」
「んーん、ぼく、やります!」
「はるくん、がんばってぇ!」
なんか今回のおてつだい大作戦で、ハルトが成長してる気がする……!
先程まで固まる気配のなかった生クリームが、時間をかけて少しづつ角が出るようになってきた……!
「ふぅ……。ゆぅくん、かわりばんこ、おねがぃ」
「ゆぅくん、がんばりゅね!」
え、待って待って? もしかしてハルト、仕上げをユウマに代わってあげたの? お兄ちゃん、そういうの弱いんだけど……。
「はるくん! にぃに! できたぁ?」
「お~! これで完璧だよ~!」
「ゆぅくん、がんばりました!」
「はるくんも! しゅごぉい!」
ハァ~~~……! 僕の弟たち、可愛すぎる……!!
思わず唸りそうになってしまう……。
そして、二人が頑張ってバナナをつぶしたボウルに、二人が頑張って泡立てた生クリームを加えて木ベラで混ぜ、バットに流し入れて冷凍庫で冷やす。
「おにぃちゃん、これで、できた?」
「あとはね、もう少し凍らせてからフォークでかき混ぜて、それを二回くらい繰り返したら完成だよ」
「じゃあ、まぜて、かんせぃ?」
「そう! だから明日には、美味し~いアイスクリームの完成!」
「「やったぁ~!」」
初めて自分たちで作ったせいか、二人はとってもはしゃいでいた。
これは絶対に喜んでもらえると思う!
アイスを見たトーマスさんとオリビアさんの驚いた顔が目に浮かぶな……。
ふふ、明日がすっごく楽しみだなぁ~!
どうか上手くいきます様に!
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