彼女のツッコミ担当じゃないんです

猫丸炬燵

第1話:初漫才

高校に入学して1週間、俺には気になる女子がいる。

隣の席のその娘は、女子の中でも小柄なほうで、言っちゃ悪いが地味な女の子だ。

顔はまあまあ可愛いと思うが、感情が乏しいところが地味に見える原因かも。


最初に彼女を認識したのは、朝の号令の時だった。


「みんなお早う、えーでは日直の山科、号令頼む」


と先生が指名した、山科ゆりというのが彼女の名前だ。

因みに俺の名前は、香川蒼太だ。


「山科? 号令」


「1」


と言って俺を見る。


「? 山科? だから号令を」


「1」


と言って俺を見る。


「2? っていやなんでだよ! その号令じゃねーよ!」


と思わずツッコミを入れてしまったのがまずかった。

山科さんは俺をツッコミ担当と認識してしまったようだ。


「起立」


そうそうそれそれ。


「着席」


「礼は! 立ってそのまま座っただけじゃねーか!」


「礼」


「遅!」


っとこれが俺と山科さんの初漫才だった。

って漫才ちゃうわ!

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