体育3

「だったらさっさと練習しろよ」


「どうせなら花崎に応援してもらいながらやりたい」


 何、ふざけたこと言っているんだこいつは。確かに今は女子だが、そんな奴に応援されて嬉しいものなのか。はっきり言ってわけがわからん。


「やるわけないだろう。そんなふざけたこと妄想するならもう少し違うことを考えてくれよ」


 幸田はこういう想像をよくるやつだとはわかっていたけど、ここまでひどい妄想癖があるとは思わなかった。そんなことはさておき、井川は恐怖心を払拭することができたのだろうか。

 井川を見ると、進むのを一瞬ためらったが、すぐに踏み出して、軽やかに飛んだ。綺麗なっ前方倒立回転飛びだ。井川は俺が見ていることに気が付くと俺に向かって歩き出した。


「私、飛べるようになったみたい。怖いと思わなくなると簡単にできるようになるのね」


「そうだろ。飛べるようになると楽しくなってくるんだ」


「そうね。でも花崎さんもすごいと思うよ。体が変わっても飛ぶことができているんだから。私はそうなったらできる自信はないよ」


「普通はならないと思うから大丈夫だと思うよ」


 これは国内に千人程度しかいない病気。自分と同じ学校の人がなるとは考えられない。もしそうだったら天文学的な確率で、宝くじで一等を当てるよりも難しいかもしれない。


「私もならないとは思うけどね。それにしれも花崎さん、そのポニーテール似合っているね。普段からその髪型にすればいいのに」


 そんなに似合っているのか。なら、少し考えてみようかな。だけどそれを恒常的にするというのなら、姉にからかわれそうでならない。だから家では絶対にしたくはない。


「考えておくよ」


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短いです。大変短いです。

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