放課後

「やっと終わった……」


 今日はすごく長く感じた。放課後は掃除をして、部活は休むからそのまま蓮と美海の二人で俺の家に行く。

 二人とは掃除当番の場所が違うので終わったら、教室で待つことになっている。俺は教室の掃除で時間もそんなにかからないが蓮は特別教室の、美海は女子トイレの掃除なので移動時間を考えても俺が少し待つことになるだろう。


「そういえば花崎は体育の着替えとかはどこでするんだ?」


「ああ、そういえば言っていなかったか。先生には女子にきちんと話をしてからなら女子と着替えてもいいとは言われた。一緒に着替えたくないなら空き部屋を使って着替えろってさ」


「当然、女子と一緒に着替えるんだよな…と言いたいけど今日聞いている限りではそれは難しいか。女子は受け入れてくれるだろうけど」


「しばらくは空き部屋で一人で着替えようとは思っている。お前らと着替えるのも個人的には問題ないけど、それだとそっちに問題がありそうだしな」


 このクラスの男子なら変態的な妄想をしても本当に嫌なことはやらないだろう。少なくともこの高校は民度が非常に高いので犯罪行為が発生するようなことは間違ってもない。


「俺たちというよりもその上だな。教師や教育委員会のほうに問題がありそうだ」


「うーん、どういうことだ?」


 俺はコイツー芦屋―の言うことがわからなかった。


「つまりな、俺たちに問題がなくても、もしこの情報が外部に知れ渡ったとしたらこの高校は男子と女子の更衣室もわけないのかってSNSを中心に大炎上。教師や教育委員会は猛烈なバッシングを浴びて、そこの幹部は全員左遷、ここの教師も俺たちに関係している教員は全員移動になる可能性があるってことだ」


「すごくわかりやすい説明をありがとう」


「さっき言ったのは最悪の想定だけど、漏れれば何かしら問題は起こる。それを防ぐために動いているんだろうな。ま、俺たちがそれに文句を言う筋合いはないさ。俺たちのわがままでかなりの人数の大人の人生を狂わせるかもしれないのはさすがに嫌だからな」


「そりゃそうだ。さて話ばかりしていないでさっさと掃除を終わらせようか」


 俺たちは掃除に戻り手早く掃除をした。筋力が落ちていると言っても、箒を持つのに苦労するほどは落ちていない。むしろ、病気でもなんでもない人が箒を重たいと言って持てない奴のほうが見てみたいものだが。

 

「とりあえずこんなもんかな」


「じゃ、俺は先生に報告だけしてくる」


 いつもなら掃除のときは先生もいるのだが、今日は仕事の関係で来られないらしく芦屋が報告に行ってくれた。

 予想通り掃除も早く終わったので後は蓮と美海を待つだけだ。スマホを取り出して操作する。

 この高校は携帯に関して特に校則はない。授業中でなければ触っていてもそれでゲームをしていても文句は言われない。


「やっと終わったー。あそこの教室ひろいうえに人数が少ないから時間かかるんだよなあ」


 蓮が来たようだ。そして間髪入れずに美海も戻ってきた。


「それじゃ帰ろうか」


 俺は荷物を持って学校を出た。その間も二人と話をしている。蓮と美海が特に喧嘩をしないで話をしている。


「今日は何をしようか」


「一にゲーム、二にゲーム、3にゲーム。そして楽しく宿題をして話す」


 蓮の考えそうなことだ。


「宿題は早くやったほうがいいと思う。今日も結構多かったはずよ」


「そうだな。ゲームもいいけど、少しは宿題をしないとな。というわけだ蓮、ゲームを早くするためにも宿題を頑張ろう」


 蓮もそれくらいは分かっているようで渋ることもなく、了承してくれた。


「ただいまー」


「お邪魔します」


 二人も家に入ってきた。


「おー、蓮君、久しぶりだね。それでそっちの子は?」


「はい、恵也君と同じクラスの園田美海です」


「おー、そうかそうか。私は恵也の姉の結弦だよろしく頼む」


 姉に変なことをされる前に部屋へと行く。


「お姉さん、いい人そうじゃない」


「まあ、あれだけならいい人に見えなくもないか。でも姉ちゃんは危険人物だ。そのうちわかると思う」


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