そらのくら

淡路結波

心残り

「人の黒いところはもうみたくないっ!」


 彼はそういって自分の前から消えた


 優しい奴だった


 人のことまで自分事のようにとらえてくれた


 自分への刃にも相手を気遣っていた


 そういう所に甘えていたのかもしれない


「彼は逃げない」から、と



 翌朝、部屋には誰もいなかった


 謝辞と血痕うたを遺して

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