利点02. 「出が早い」
DEX極振り無課金ライト層プレイヤーのStrawberryEater427は、普段は生産と販売で資金の数字を増やすことにしか興味がないが、レベル30帯程度までのストーリーイベントは進めている。フレンドの協力あっての成果だが、自身もアイテムや装備品の供与で貢献しているため、持ちつ持たれつと言って良い。
主な協力者であるImitationCat145も、ステータスボーナス自動振分け機能を6種均等振り(=初期状態)に設定したままレベル35にまで至っており、StrawberryEater427のバックアップ無しでイベントを進めることは不可能だっただろう。
「ようこそ、StrawberryEater427。あなたならいつでも大歓迎よ」
2人が訪れたのは、以前にイベントで訪れたとある王城、その中にある王女の私室だ。
「良いかねピヨコくん。【拳銃】が剣と魔法に勝るメリット、それは出が早いことだ」
「出が早い」
「魔法ならば、どれだけ低位の物でも詠唱によるディレイがある。
剣にしても、鞘から抜いて切るまでの時間がある」
「魔法はともかく、剣でそんなに変わりますか?」
「ならば、その腰の剣を引き抜き、王女に斬り付けてみると良い」
「えええ……」
ImitationCat145が渋々ながら剣を鞘から引き抜くと、
「曲者だッ! 出合え出合え!!」
「曲者だッ! 出合え出合え!!」
「曲者だッ! 出合え出合え!!」
そこへ警備NPCが何処からともなく湧いて出て、StrawberryEater427とImitationCat145の2人を城の外まで引きずり出した。
「ここは王城だ! 二度とこんな真似をするんじゃないぞ!!」
「とまぁ、これが剣の限界だね」
「なるほどですね」
「ようこそ、StrawberryEater427。あなたならいつでも大歓迎よ」
それから1分後、2人は再び王女の私室に戻ってきた。
「ここで【拳銃】だよ。【拳銃】の攻撃判定は、
「しかし次の瞬間、既に銃弾は的に届いている……そういう訳ですか」
「その通り。そして万一のために、こうすれば」
StrawberryEater427は縦横を王女の額に接触させる。
「もう、StrawberryEater427! 私は子供ではありません!」
王女は頭を撫でられた時のリアクションを返した。
それが親愛を示す動作ではなく、自分の命を脅かす武器だ等とは思いもせずに。
「発射から着弾まで、ほんの一瞬すらも存在しない」
カチリ、銃爪を引く。
パン、と乾いた音。
ほぼ同時に、カン、と硬い音。
射撃の反動で王女の額から外れた銃口のあった場所には、掠り傷一つ残っていなかった。
「曲者だッ! 出合え出合え!!」
「曲者だッ! 出合え出合え!!」
「曲者だッ! 出合え出合え!!」
そこへ警備NPCが何処からともなく湧いて出て、StrawberryEater427とImitationCat145の2人を城の外まで引きずり出した。
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