イベント『異世界ファンタジー主人公成長・無双系連載作品の批評』より。批評します。
・冒頭の完成度
良い点：世界観や設定が説明されている。
悪い点：説明が長い。
・文章の読みやすさ（文章の美しさとは別）
良い点：文法が守られている。漢字と平仮名の割合がちょうどよい。三人称視点で統一されている。
悪い点：一文が長い。地の文の割合が多い。説明が多い。
・登場人物の深み
良い点：容姿の説明が丁寧。
悪い点：個性が出ていない。会話を使った心情描写が足りていない。
・総評
文章の読みやすさについて。しっかりと文法が守られている点が非常に評価できる。漢字と平仮名の割合もちょうどよく、人称もも統一されており、安定した文体である印象を受けた。しかし一文が長い。その影響で読点「、」や接続詞が増えて読みづらくなっている。一文を短く区切る意識を持つと良いだろう。また文中で説明口調になっている部分が多い。三人称視点ではどうしても説明が多くなりがち。ただ説明するのではなく、行動・会話・風景描写等、間接的な表現の意識を持つと良いだろう。
冒頭の完成度について。世界観や設定の描写が丁寧に行われている点が評価できる。しかし説明が多い。前置きとなる説明が長いため、物語のメインの要素に入るまでが冗長に感じた。あらすじを読む限り、本作品のテーマは「主人公の学園での活躍の様子」であると考えられる。それならば学園に入るまでの経緯は省き（もしくは簡潔に済ませ）、学園に入ったところから物語を始めるべきである。仮に、主人公や周りの人物の過去など、説明したいことがあった場合。それらを冒頭で一気に説明するのではなく、会話やイベントの中で自然な流れで説明できると良いだろう（読者は「設定」ではなく「ストーリー」を読みに来ていることを意識すると良い）。
登場人物の深みについて。各人物の容姿や設定についてある程度考えられている点が評価できる。しかし個性が出ていない。人物に特徴的な価値観や性格をもたせて、初登場時にインパクトを与えるような登場の仕方をさせられると良いだろう。また言動に一貫性を感じない。ストーリーに引っ張られすぎて、人物の言動や性格に違和感を感じた（ご都合主義）。執筆前にプロットを書くなどしてストーリーを整理し、人物を自然な流れで登場させる意識を持つと良いだろう。