序章―はじまり―

 西暦4445年――。世界は宇宙と一体となり、地上は荒れ果て、大地には砂煙が舞った。乾いた銃声の音がどこからともなく、絶えることもなく響き渡り。誰かが流した血の臭いが空気に混じれば、その血生臭い匂いが辺り一帯を漂わせて僕の鼻をついた。


 僕たち人類は、いくら時の流れが過ぎても何もかわることはなかった。争いと破滅への連鎖は、誰かが止めることもなく、ただひたすら虚しく音をたてながら争いを繰返した。戦争の上に大きな犠牲が必要ならば、僕たちは何の為に、誰の為に戦っているのだろう?僕は荒廃した大地に佇み。天上に広がる空を一人で虚しく見上げた。誰かに与えられた命に、一体なんの意味と答えがあるのだろうか?


 僕たち子供はこの世界に生まれながらにして、最初から名前と銃をとる事だけしか選択肢がなく。大人からそれ以上に与えらる事はなかった。『存在』と『意義』に僕たち子供は、その証明が欲しかっただけなのかもしれない。


西暦4445年。僕達の戦争は激しさと過酷さを強く増し続けながら、より激しくおとをたてながら加速し続けていた――。

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