5章〜走れ傲慢ちゃん!〜

第8話



 ――同時期。アメリカ・マサチューセッツ州・ケンブリッジ―



 数々の名だたる大学のキャンパスが集まるここケンブリッジは、世界最高の学びのテーマパークと言われたりもするらしい。


 そんな学び舎の1つ。チャールズ川を挟んで、ボストンの対岸にあるその大学の名は、



 マサチューセッツ工科大学。通称、MIT。



 知る人ぞ知る、世界最高峰の大学である。


 10を超える寮と、分野ごとの建物を含む敷地面積は東京ドーム15個分。あの東京ディズニーランドが11個分なことを踏まえると、この都市型キャンパスの大きさが分かるだろう。


 1年前のクリスマス、例外なくここマサチューセッツにもモンスターは現れた。


 しかしMITだけでなく、ハーバード、ボストン、タフツ大学などの学生達が自分達の大学の広さを活かし、即座に一般人を受け入れバリケードを作り要塞化たことで、被害は最小限に。


 そして魔力の存在に気づいた学生や教授は、学内の恵まれた設備を使いすぐに研究、分析、試行を繰り返し魔法とcellの力で州内のモンスターを制圧。

 大学連合を作り協力することで、軍部の助けとインフラ回復までの足掛かりとして、完璧な動きを見せた。


 マサチューセッツの一般人が元の生活を取り戻すまでに掛かった時間、僅か2週間。これはアメリカ内でも驚異の早さであった。



 そしてそんな連合の中心にいた人物が、何を隠そう、当時から異才を放っていた1人の少女である。



 目の覚める様なブロンドのツインテールを揺らし、深く透き通る碧眼はナイフの様に鋭く、見た者を萎縮させる。


 それでも年相応の幼さと、口元からひょこっと出る八重歯がキュートな彼女。


 そう、



 Stella・L・Rex



【傲慢】の名を冠する、稀代の大天才である。


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