珍しく二人の意見が一致したこと 前編

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今回のお話。

少しいつもと毛色が違っております。

ご注意ください^^

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 私と嫁は、昔っから意見や行動が一致しない。

 また、嫁は私のサプライズをことごとくタイミング悪く潰すクラッシャーでもある。


 そのクラッシュぶりを垣間見て頂くとすると。


 嫁の誕生日にサプライズ好きな私が、プレゼント(指輪とか)とケーキ(ショートのホールケーキ)を気づかれないよう購入し、見つからないように隠しておき、日付が変わったらこっそり部屋から退出。数字ローソクで年齢を現して火を灯してからぼけっとしている嫁のいる部屋を暗闇にして背後に忍び寄るようにケーキと共に登場してみると、


「あー、何急に電気消して。今誕生日を誰も祝ってくれない星の元に生まれたもんだから一人寂しくケーキ(ショートのカットケーキ)食べてるのに」

「あ、うん……なんか、ごめん」

「早く電気点け……ん? あれ、なんかほんのり明る――っ!?」


 みたいなことや。

 時には、


「あれ、これなに、高そ――はっ!? これ誕生日プレゼント!? ありがとう!」


 と言う風に、誕生日前に隠していたプレゼントを見つけられたり。


 なんていう、サプライズクラッシャーである。


 そもそも、嫁は元旦生まれなので、年替わりの瞬間にケーキとか。

 日本人なら蕎麦食え蕎麦とか思わなくもない。


 ただ、これは。

 嫁が、ではなく、嫁の女系家族皆がもつ、ある意味異世界冒険ものなら、ユニークスキルではないだろうかとさえ思えるほどの『タイミングの悪さ』の派生型スキルだと思っている。


 まあ、そんな異世界話はどうでもいい。


 とにかく、サプライズクラッシャーなのは間違いない。


 ……

 …………

 ………………


 ……サプライズクラッシャー嫁。


 どこかの漫画でありそうなタイトルだな。



 閑 話 休 題こほんっ。こほっ、ごほごほ、げほぅ!



 ……さて、本来の話に戻すとして。

 私と嫁は、とにかく、基本意見や行動が一致しないのだ。


 例えば。

 食べ物で言うなら。

 嫁は牡蠣がとにかく好きだ。

 私は牡蠣は食べられない。

 なんせ、嫁がわざわざ探してきた美味しいオイスターバーで牡蠣を食べて蕁麻疹的なものを出して台無しにする程である。


 実写版でまた人気が出てきた弱虫ペダルで言うなら、


「荒北✕新開でしょ」

「え。荒北なら、荒北✕福富じゃなくて?」

「はぁ? はぁ?……はあ? おめぇ、今なんて言った? あの二人のカップリングが一番だろ? ふざけたこと言ったら二の腕噛むよ? いや、もう言ったんだから二の腕差し出せ」

「いや、でも荒北受けはあってるだろ」

「黒田なら攻めだろ」

「ああ、うん……なんか、浅い知識で言っちゃってごめん」


 そんなBなL話で、供物として二の腕差し出させられたり――


 ごほんっ。

 ――ごふ。げほっ。


 まあ、そんな感じではあるのだが、そんな二人が先日、ついに意見が一致したことがあった。



 それは、息子のしょうもない質問からだった。


「ねぇねぇ、ぱぱうえー」

「ん。なんだ最近運動サボって太りまくりの息子よ」

「ひどっ!」

「よく聞け。飛べねぇ豚は、ただのデブだ」

「それ、なんか切ないっ!」


 おおっ。切ないとかそんな言葉を使うようになりやがって。なんて、違うところで感動していると、


「でさ。パパ上って、ゲームで苦戦したことってあるの?」


 そんな質問をしてくる息子に、私は鼻で笑った。

 息子からしたら、私はゲームがとてつもなく上手いように見えているそうだ。

 自慢ではないが、実はとあるゲーム激戦区で、若い頃は一部ゲームで上位ランカーだったこともあるので、まあ、今は錆びついているが上手い方なのかもしれない。

 後、アーケードで昔あった、サイヴァリアリビジョンというシューティングゲームは本気でやりこんだので、負ける気はしない――っていうか、今は腕錆びついてて同じようにできるわけないし、勝ち負けないし、あれ。


 まあ、息子は、私とゲームを常にやりたがっており、二人でできるゲームを練習し、色々見つけて、常に私に褒められたくて必死なんだと嫁から聞いたから、聞いてみたかっただけであろう。


 だが。

 愚問である。


 そんなゲームは、多々ある。

 どんなゲームでも、やりこめば、または縛りをいれれば、苦戦するものなのだから。


 かく言う私は、自慢ではないが、ゲームにはまり続けたこのピー年において、何百とやったもののなかでクリア出来なかったゲームは――<あ。二作品あるな。まあ、無理ゲーと言われたコンボイの謎と、ゲーム機本体が壊れて最後まで出来なかった、トラキア776は除外しよう……ん? 中途半端に止めてるゲームも多々――>――ないわけで、そんな私にそのような、むしろ昨今のゲームは縛りを入れないと楽しめなくなっている私としては――


「――本当の苦戦なんかまだ知らない子供が生意気な、とか。何子供相手にムキになってるの。いいから、早く答えなさい、噛むよ」


 なぜ私の心の声がわかった。

 この嫁、まさかエスパーか。


 エスパーとスマホで打ったら、予測変換でエスパー魔美が出てきた事にも驚きつつ、嫁に二の腕噛まれて我にかえる。


 ゲームのことになるとついつい熱くなるのは私の悪い癖だ。


「まあ、答えとしては『ある』、だな。縛りプレイしなくても普通に苦戦したものがな」

「ねぇねぇ、それ、僕も出来るゲーム?」


 パパ上を崇拝してやまない息子だ。

 そりゃ私が経験してきたゲームの中で、苦戦=楽しいと思うゲームをやってみたいと思うのも仕方がないのだろう。


「お父さんが苦戦してたゲーム? 昔やってた、会社で中間管理職なのに、帰ってきて家でも中間管理職やってて呆れちゃった三国志?」


 ただ、そんな息子以外にも、興味をもったのが嫁だ。

 興味はあるのだろう。だが、その言い方が酷い。でも納得はできちゃうのが恐ろしい。


「いや、あれは。劉禅りゅうぜんを自キャラにしてやってみたら凄いんだぞ。劉禅が君主になった蜀がどれだけ弱いか分からないから――」


 おっと。

 また悪い癖――縛りを熱く語る――が出てしまった。

 自重しないと。なんて思っていると、嫁が食いつく。


「劉禅がそもそもどんな人なのか知らないし」

「ほぅ? 三国志ダイジェストを聞きたい、と?」

「……ちなみにどれくらいで聞き終わりますか。無双とかで少し興味ある」


 嫁は知っている。

 私にこの手の話をすると止まらなくなるということを。

 以前ガンダムについて安易に聞いた嫁は、私にガンダムで一日話をされたことがある。

 楽しかったからいいとは言っていたし、嫁は私がゲームしているのを昔から横で見てストーリーを楽しむケチつけることが好きらしいので、昔はよくこんな話をしたもんだ。


「始まりを劉備の桃園の誓いとして、はしょりつつ統一まで話したら二時間強ってところだ。要所でどんな戦いがあったか、活躍した武将とかの説明を色々挟むからな」

「挟まず簡単に言うなら?」

「諸葛亮が描いた魏、呉、蜀の天下三分の計が成って、三国が争い蜀が滅び、二強となった後、天下統一したのは魏から代わった普」

「三国、じゃない!?」


 え。そこ驚くとこか?

 お前さん、無双でも普のキャラよく使ってるし、海外の歴史系は俺より得意だよね?


「一応三国ではあるけど。細かくは残ってたし(公孫一族とか)、魯粛が説いた天下二分の計を更に練ったのが三分の計だしっつーか、三分は正直無理やり感凄いし」

「ほぇー……」

「まあ、この辺で終わらそう。魯粛について話すとキリがない。で、苦戦したゲームだったな? あるぞ」


 と。


 ゲームの話が軽く絡むだけで長くなっていくこのお話。


 前編、後編で分けてみる。

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