第6話 打撃練習と守備練習
投球練習を終えたレン達も打撃練習に向かった。
レン達はピッチングマシンの順番が自分に回ってくるまで素振りをする。
素振りをする合間にピッチングマシンで打撃練習をしている人達の様子を見る。
相変わらず攸樹は打球を良く飛ばす。
恵李華は打球を打ち分けているようだ。
狙った所に打球を飛ばす練習をしている。
亜梨紗は打撃は苦手らしい。
投手なので仕方ない。それでも一生懸命苦手を克服しようとしている姿は素晴らしい。
時々バントもしているが、バントは上手いようだ。
そうして暫く素振りをしていると、攸樹が場所を譲ってくれたので、レンはピッチングマシンを使って打撃練習を始める。
右打ちで初球120キロの直球を芯で捉え、センター方向に打ち返す。打ち返した打球はセンター方向のフェンスを越えて、ネットに突き刺さる。
二球目の直球もライト方向のフェンスを越え、ネットに突き刺す。
続けて三球目もレフト方向のネットに突き刺さした。
その後は、右中間、左中間、ライト線、レフト線と外野ネットに打ち返していく。
更に、センター前、ライト前、レスト前、右中間、左中間、ライト線、レフト線と安打性の打球を打ち返し、最後にバントをする。
その後、左打ちに切り替え、同じように一通り打ち返していく。
それを何度か交互に繰り返す。二回目、三回目以降と球速も上げていく。
満足するまでひたすら繰り返すのであった。
満足するまで打撃練習を行ったレンに涼が話しかける。
「すごいな。全部狙ってやっているんだろう?」
「狙っているよ。だけど練習で出来たって試合でも出来るとも限らないさ」
「そうだが、それでも凄いと思うがな」
「それに、バットコントロールならセラの方が上手いよ」
「そうなのか?」
レンの練習を見守っていた涼は感心したように告げた。
それに対し、レンは自分よりセラの方がバットコントロールは上手いと言う。
「長打力は私の方があるけどね」
だが、長打力は自分の方があるとレンは宣言する。
「そうか。私も負けられんな」
その言葉を聞いて、涼はやる気を滾らせるのであった。
◇ ◇ ◇
打撃練習を終えた後、守備練習に入る。
各々自分のポジションに入って早織が打つノックを受けるのだ。
一塁手にはセラと攸樹が、二塁手には飛鳥と恵李華が、三塁手には涼が、遊撃手には慧が、左翼手には純が、中堅手にはレンが、右翼手には静が入り、捕手には千尋、マウンドには投手人が入っている。
静は、中堅手にレンが入いるので、右翼手に回った。
一人五球ずつノックを受ける。
早織は始めにファーストの攸樹に向かって五球それぞれ異なる打球を飛ばす。
一球目は正面の打球だ。
これは問題なく捕球してキャッチャーである千尋に返球する。少し危なっかしさはあったが・・・・・・
二球目は一二塁間に打球を飛ばす。
これに反応した攸樹は打球に飛び付くが、ボールには届かなかった。
「出足遅いですよ!」
「はい!」
それに早織の檄が飛ぶ。
続いて三球目はライト線の打球。
この打球にも腕を伸ばすが、ボールには届かない。
「一歩目が遅いです!」
「はい!」
四球目はフライを打ち上げた。
落下地点を探りながら何とか捕球する。
五球目はバント処理だ。
攸樹はボールに向かってダッシュし、捕球する。
「ひとつっ!」
キャッチャーである千尋の指示を受けた攸樹はファーストに送球する。
その送球されたボールをセラが一塁ベースを左足で踏みながら、右手のファーストミットでしっかり捕球する。そして捕球したボールをキャッチャーに返球する。
この様にそれぞれのポジション毎に様々なシチュエーションを踏まえたノックをしていく。
この守備練習でわかった事だが、どうやら攸樹は守備が苦手なようだ。
セラは安定した守備を披露し、飛鳥は流石の守備力を発揮した。
恵李華と涼も安定した守備をし、慧はダイナミックな守備を行う。ダイナミックでも無駄な事はせず、状況をしっかりと判断して、基本もしっかりしているようだ。
純は初心者なので、レンのアドバイスを聞きながらノックを受けていた。
そのレンは、俊足を活かした守備を披露し、静も高レベルの守備を行っていた。
千尋もキャッチャーフライやバント処理を難なくこなしている。
投手陣もそれぞれレベルの差はあれど、しっかりとこなしたのであった。
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