読書

 二~三日、GPZの補修作業が進行していない。いくら学生に時間的余裕があるとはいえ、こんな日もある。


 一人でできることはすでに終わらせた。絞りハンドルも近所の建築現場から足場用のパイプを拝借して、ハンドルを突っ込んで曲げ戻した。バイク用品店のセールワゴンで見つけた安売りのウインカーセット、これも既に装着済み。宗則の言ったとおり、問題無く点灯した。

 なかなかしっくりとくる装着場所が無くて悩んだけど、父が工具などを入れていた小さな倉庫内を探して、汎用ステーが見つかったのが大きかった。

 わざわざステー2本のためにバイクを出してホームセンターに駆け込むのは正直しんどい。


 こういう小さな準備不足が一人作業時のやる気を削ぐ。工具をしまったり、バラバラにしたバイクパーツをある程度車体に組み付けたりしないとその場を離れられないのよね。


 こっから先はできることなら誰かと意見交換しながら作業したい。私は不器用な方ではないと自負しているけど、このあとの作業は初めてのことばかり。

 インターネットで補修やリペアなどのワードを入力すると、いくつかの動画はヒットするけど、やっぱり車が多い。参考にはなるけど、ある程度止まり。


 明日は宗則が手伝いに来てくれる。だけど、宗則に全て頼りっぱなしってのもやはりダメだと思う。経験は無くてもせめて知識ぐらいは積極的に増やそう。

 今日は遅くまで開いている古本屋チェーンをハシゴしよう。バイク関連の知識や塗装関連の知識がもう少し欲しい。何件か巡って参考になりそうな本が安く売っていたら買ってこよう。夜は読書。ついでにお酒の買い置きも補充しよう。あとおつまみも。


 目を閉じて脳内ナビを展開させ、古本屋とお酒の量販店とを何軒かピックアップして、ルートを結んでいく。大き目のリュックを背負い、掘り出し物を大量に見つけた時のためにツーリング用のネットをGPZのシート下から取り出す。

 NSRに跨りエンジンをかける。「ベーン、ぺぺぺ」小さなフォグライトだけでは少し心もとない。スマホをポケットから出して時間を確認する、16時。せいぜい二~三軒かな。

 クラッチを握りニュートラルから1速へ。中排気量の2ストでさえ雑さを感じないシフトフィーリングと吹け上がり。これがホンダ車なのかと感動するが味気無さと酷評する人がいるのもまあ頷ける。

 他社の2ストのバイクに乗ったことがない、もちろん4ストでさえ経験値は皆無。そんな私が感じているこの気持ちの信憑性は低いと思うけど、カワサキのバイクにはずっと乗り続けていける乗り味があると思う。

 カワサキで2ストのバイクなんて乗っちゃったらどうなっちゃうんだろう。


 古本屋で2スト特集本も探してみよう。

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