第30話 魔法が使えない主人公、必殺技を発動する

 外の悲鳴のようなものが、歓声に変わった。



 いったい何がどうなってんだ!


 俺が外に出てみると、なんということでし……だ!


 城壁がめちゃくちゃに壊されているではありま……ないか!


 市場の食物も、武器屋の品物も、みんな崩れているじゃないか!


 だのに、みんな喜んでいるって、どういうことだ!



 広場に来てみると、人だかりができているではないか!


 そこにいたのは、な、なんだってー、あの女ではないか!


 しかも、この自称『国』の自称『国王』にしてマジック・ローダーの、ベルツェックルと、再婚相手のクペナのすぐそばで!



 俺の預かり知らぬところで、こんなことが起きてたなんて!


 ああ、あいつ、ベルツェックルとクペナに連れられて、王宮へ向かっている!

 王宮へは一般人は立ち入ることなどできないし、ましてや俺なんか絶対に入ることなんかないだろう!

 い、いったい、この先なにが起こるんだ!


 くそぉ、こうなったら俺の必殺技だ! このエピソードを終わらせてやる!

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