19、
騎士団からの報酬受け渡しの連絡がいまだに来ないことに、ハヤトたちが疑問を感じていると、ギルドの受付嬢がハヤトたちに声をかけてきた。
「ハヤトさん、アミアさん、シェスカさん。それとカインさん。皆さんにお客様です」
「お客様?」
「はい。騎士団の方だそうです」
騎士団の人間が来訪してきたことを知り、ハヤトたちはカウンターの方へと向かっていく。
カウンターに到着すると、遺跡の入口で受付をしていた二人の騎士のうちの片方がいた。
「お待たせしました」
「あぁ、昨日はどうも。その後、体調の方はどうだい?」
「一晩、ぐっすり眠れたおかげかしっかり回復してますよ」
「まぁ、ハヤトはもう少し寝ていたいって顔に出てるけどな」
「あ、ばれた?」
「こんなときに何を言ってるのよ……」
いつもなら真面目なハヤトが冗談を言っている姿に、シェスカは呆れたようにため息をつく。
もっとも、その態度はハヤトがそれだけ精神的に疲れているということでもあった。
それをわかっているのか、シェスカもカインもそれ以上のことは追及しなかったし、騎士も追及することなく、話を進める。
「さて、俺が君たちを訪ねた理由だが先日の遺跡探索の報酬が出たことと……君たちが見たものについて直接、報告を聞きたいという陛下の要望があってな」
「陛下が?」
「あぁ。急な話ではあるが、来てもらえないだろうが?」
騎士はまっすぐにハヤトたちを見ながら、問いかけてくる。
問いかけられたハヤトたちは、互いを見合わせ、意思を確認するが全員の意思は一致していたらしく。
「わかりました。伺います」
「ですが、ハヤトは今起きたばかりなので、身支度を整えてからでも大丈夫でしょうか?」
「構わない。では、ここで待たせてもらう」
ハヤトのぼさぼさの髪型を見た騎士が身支度する時間をくれたため、ハヤトとアミアは部屋に戻っていく。
数分とすることなく、二人はリビングに戻り、シェスカたちと合流する。
そのまま会話を交わすことなく、騎士の元へと行き、彼の案内の下、一向は再び城へと向かう。
道中、騎士の方から言葉をかけてくることはなかったが。
「陛下から直接の呼び出しって……いったい、なんだろう?」
「案外、報酬の話とか、騎士団への推薦だったり」
「いや、遺跡の話でしょ……ていうか、カイン。君、ちょっとがっつきすぎじゃない?」
「いやいや、逆にあの遺跡の最奥部までいったんだぜ? 騎士団が普段から訓練で使ってるんだろ? てことは、俺たちの実力は騎士団とそん色ないってことじゃねぇか」
王城の地下遺跡は騎士団が訓練に使用している。
その遺跡を、現在確認できている最奥部まで向かうことができたハヤトたちの実力は、騎士団とそん色ないと言っても確かに過言ではない。
だがたった一度、現在のところ確認できている場所まで攻略したからといって、騎士団に採用してくれるかと言われれば、それとこれとは別の話だ。
「それに、あなたの性格じゃ、騎士団に採用されるってことはありえないと思うわよ」
「いや、やってみないとわからねぇだろ」
「やってみなくてもわかるわよ……それよりも、陛下の前で失礼なことはしないでよ?」
シェスカの辛辣な一言にカインが反論するが封殺され、その上、失礼なことをしないよう、釘を刺された。
そんなやりとりをしているうちに、城門に到着し、城内へと通される。
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