第四章 第四章 伝統の一戦《クラシコ》と少女の真相

第1話

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 ピッ、ピピー! バレンシア・スタジアムに笛の根が高らかに鳴り響いた。と同時に、バルサのベンチの面々が立ち上がる。皆、熱狂を感じさせる力強い笑みを浮かべている。

 ゲームセット。四月十八日、神白たちバルサは、リーガ・デ・オノール・Sub―19の第二十七節、ヴァレンスアCFに一対〇で勝利した。これにより二位ヴァレンスアCFとの勝ち点の差は十になり、残り三試合の結果に拘らずバルサの首位は揺らがなくなった。

(よし! 最低限のノルマは達成!)神白はゴール前で拳を握り締めた。グループ2でバルサは優勝。決勝リーグであるコパ・デ・カンペオネス・フベニールへの出場権を獲得した。

 最近の神白はレギュラーの座を掴みつつあり、およそ七割の試合に先発出場していた。二度、バルセロナC(トップチームの三軍)の練習にも呼ばれていて、自分でも成長を実感していた。

 試合後の挨拶も終えて、神白たちは監督の話を聞き始めた。ゴドイはやはり、高ぶった口調で選手たちを称賛した。

 話が一段落し、ゴドイは少し静かな表情になった。

「講評は以上だ。またこれまで少し話してきたが、バルサ・フベニールAは、神戸ヴィライアより暁遼河を獲得した」

(ついに正式決定か。やったな、遼河! 大きなステップ・アップだ!)

 友の飛躍を喜ぶ神白は、密かに拳を握りしめた。

 ヴィライアとのテストマッチの一週間後、ゴドイから、暁を自チームに加えたい旨が話された。神白は驚く一方で、納得もしていた。暁はディフェンスにしては技術が高く、テクニカルなバルサのスタイルにも適している。スピードはさほどではないがクレバーでポジショニングが良く、一列前、中盤の底での器用も可能だと神白は感じていた。

 暁の移籍に関する詳細を聞きつつ、神白はわくわくしていた。センターバックに暁を据えた時の試合構想が、幾多、神白の頭の中で展開されていた。

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