第3話 姫を失った騎士が、姫によく似た少女を偶然助ける。

幼い頃、騎士としての一歩を踏み出した頃から、姫様はいつも近くにいた。


私のことをいたく気に入ってくれていて、歳も近かったこともあり、姫様のわがままや突拍子もないアイデア、いたずら、城からの脱出にと、振り回されてばかりだった。


そして怒られるのはいつも自分。でも、それでも良かった。幼い頃の大切な思い出。


大人になってからは、信頼と、少しの恋心がそこにはあった。


でも。


――救う事が出来なかった。


あの日、私の目の前で姫は殺されて、私は生きる意味を失った。


姫様との最後の約束を果たすために旅に出た私は、暴漢に襲われる一人の少女を救うことになる。


フードで顔を隠したその少女が、「ありがとうございます」と頭を下げながらそのフードを取ると……


――そこには、自分が救えなかった姫様にそっくりの顔があったのだ。

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