本当に怖いかちかち山

 カチカチ山の話を一度は聞いた事があるでしょうか。簡単に言えば、うさぎがおばあさんのかたきをとるために、たぬきに仕返しをするという話です。絵本によって若干違っているかもしれません。一般的には悪いたぬきを懲らしめるという話だけれど――。


 簡単にあらすじを説明すると、畑を荒らしたり作物を盗んでいたたぬきをこらしめるためにおじいさんが、たぬきをつかまえてしばっておきました。おばあさんに悪知恵を使って縄をほどいてもらったたぬき。なんと、おばあさんを殺してしまいます。絵本によってはケガを負わせたという話になっているかもしれません。殺すなんて、唐突な感じもしますが。


 うさぎはおばあさんに対する特別な愛情や恩があったのでしょうか? そうでなければ、そこまでしてたぬきを苦しめようなんて思わないと思うのだけれど。


 しかし、たぬきの奴は元々畑の野菜を盗む程度の悪だったのに、ここからは極悪になります。おじいさんが捕まえたあとから、殺人の罪を犯す極悪たぬきに。ここで、殺人という超えてはいけない悪の壁を越えてしまったたぬき。おじいさんがたぬきをつかまえなければ、おばあさんが殺されることはなかったのかもしれません。悲劇はここからなのです。


 うさぎもここで悪へ手を染めてしまう。それはうらみやかたきうちという正当な理由はあるのだけれど……。


 まずは、うさぎは親し気に近寄って、たぬきの背負っているまきに火をつけてしまいます。当然、たぬきはやけどを負ってしまうのです。さらに、追い打ちをかけるようにうさぎは唐辛子の入った味噌を薬だと言ってわたします。ここまでくると、結構な悪うさぎとなってきます。さらに、うさぎはとうとう殺人ならぬ殺たぬきを実行します。うまいことたぬきを泥船に乗せ、殺してしまったのです。


 とうとうたぬきを殺めるということをしてしまったうさぎ。でも、それは本当に正しい行いだったのでしょうか? そこまでする義理がうさぎにはあったのでしょうか。一般的には温和なイメージのうさぎ。ここでのうさぎの役割は裁判官という感じの裁くポジションなのかもしれません。


★解説

 今の時代に同じことをしたら、うさぎが人間ならば間違いなく犯罪者です。いくら、かたきを討とうと思っても、やりすぎではないでしょうか。結果的に殺してしまうのだから。でも、たぬきがおばあさんのことを殺して具材にしたという話もあるので、うさぎにたぬき汁として調理されても文句は言えないかもしれません。


 うさぎのしっぽが短いのは、人間に切られそうになったといううわさもあるから、うさぎも何かしらの罰が与えられたのかもしれないですね。


★教訓

 因果応報。いいことをすればいいことが自分に返ってくる。悪いことをすれば悪いことが自分に返ってくる。それにしても、知恵を使ってたぬきはおばあさんをだましたり、うさぎも知恵をふりしぼってたぬきを苦しめたってことで頭脳戦ってことになるのかもしれないのです。

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