桃太郎の闇
日本一といっていいほど有名な昔話の桃太郎。桃から生まれた桃太郎が、鬼ヶ島の鬼を退治するためにきびだんごを与え、お供に連れて行った動物と共に鬼退治をする。鬼が盗んだ宝をもらって帰ってくるお話。育ての親であるおじいさんとおばあさんたちも宝のおかげで幸せになって、裕福に暮らすというハッピーエンドの物語です。村人も桃太郎に感謝して平和が訪れるという話です。鬼ってどの程度悪い奴だったのでしょうかね。基本的に鬼は悪、桃太郎は善として描かれているのが物語の特徴です。
桃太郎には仲間がいます。みなさんご存知の犬とサルとキジです。鬼を退治する動物としての選択にしては、ちょっと弱そうですよね。トラ、ライオン、クマあたりを連れて行った方が戦力になるような気がしますが、なぜ犬、サル、キジだったのでしょうね。
そもそも、桃太郎ってなんで川から流れてきた桃の中にいたのでしょうか? 誰が流したのでしょうか? しかも人間の子供を閉じ込めているんですよ。拾われなかったら――と思うと、胸が痛みます。そのまま誰も拾わなければ、桃が腐って海に流されてしまったのでしょうか。
桃太郎は捨て子だったとしたら、少し納得できます。生まれたばかりの赤ちゃんを育てられない事情があった人が、川に流したのかもしれません。これってかなり悲しいお話になりますよね。桃に入れるのは不可能なので、何かに入れて流したのでしょう。動物たちも捨てられた事情のある孤独な動物を選んだのかもしれません。
サル=去る
犬=居ぬ
キジ=帰路
となっており、悲しい人生を歩む同士を仲間にしたという説もあります。
★解説
お供にした動物については諸説あって、陰陽道にあてはめて干支で鬼門である丑寅の反対方向である裏鬼門が申(サル)、酉(キジ)、戌(イヌ)であるからという話もあるようです。
桃太郎は実在していた説もあります。
古事記には、日本列島を作ったと言われているイザナギという人物がいます。イザナギは孝霊天皇(こうれいてんのう)だと言われています。その息子、スサノヲと言われている吉備津彦命(きびつひこのみこと)だという説があるのです。
吉備津彦命は三人をお供に連れて行ったというお話もあります。
・犬飼部 犬飼健(いぬかいべの いぬかいたける)
・猿飼部 楽々森彦(さるかいべの ささきもりひこ)
・鳥飼部 留玉臣(とりかいべの とめたまおみ)
あれ、名前の頭に犬、猿、鳥がついていますね。諸説あるので、真相は闇の中です。伝説ってそういうものだと思うのです。
岡山県の昔の名称は『吉備国(きびのくに)』。
桃太郎が持っていたのは『黍団子(きびだんご)』
それにしても、きびだんごでお供を得るという方法は、お金を払うという雇い主と労働者の雇用関係のようですね。
★教訓
正義は勝つ。自分が得意な分野でそれぞれの能力を発揮して、最後は幸せになりましょう。犬、猿、キジ、それぞれが得意な分野でひとりの力ではどうにもならないことを実行する彼らは、鬼をやっつけるという一大事業を行ったということです。犬猿の仲でも、力を合わせれば強い鬼すらも倒すことができたいい例なのです。嫌いな人と一緒にがんばることも、ときには大事だと思うのです。
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