謝罪会見 著: ふじりゅう
ばしゃあ ばしゃ ばしゃあ
そのシャッターはまるで、曇天の最中行われた花火の爆音に警鐘を鳴らす、鳥のわななきの様であった。さしずめ私を刺すフラッシュは、小鳥が花火を怯え、何者かかと照らす行為に等しく思えて。私は、そこへ座る。始まった。
「此度の賞味期限偽装の件は、本当に上層部が把握していなかったのですか。」
そう、私は、自ら指示した賞味期限の偽装によってこの場に立たされている。
「パートの社員へ責任を押し付けていますが、会社としての責任を負う義務はないとお考えですか」
パートの女性とは、37歳の嶺口祥子を指す。彼女はもちろん私を含めた上層部の指示で、賞味期限を記述したシールを貼り替えた。責任は彼女にもあるのは自明である。なぜなら、彼女は実際に罪とされる「行為」を行った人物であるからだ。更に申し上げるなら、本方針は私が決定かつ提案したのではなく、妻と話した上で決めたものだ。その意味では、私がこうしてこの場で糾弾される事に対して、ある種人権侵害とも言うべき者が現れても良いと思っているし、実際現れるだろう。むしろ、私は被害者の一人かもしれない。小鳥達は、長年企業のトップでなかった故に先を見据える力がないのだろう。その為、そのような自明を録に判断出来ぬと考えられる。
小鳥、といえば、すずめが印象的だ。すずめは丸っこい姿をしていて、よちよち歩きながら生きることを誰よりも遂行している辺りが可愛らしい。ちなみに、皆さんがご存知かどうかは分からないが、すずめは漢字で「雀」と書く。雀という漢字で真っ先に思いつくのは、やはり麻雀ではないだろうか。ではなぜ麻雀と書くかというと、古来は麻の上で遊戯を行っていたという事柄から、麻を記し、雀は、牌を混ぜた時の音が雀の鳴き声に似ていたからとも言われている。だからマージャンは麻雀(どうなのですか?
[え、まぁ、ご想像にお任せします。]
「きちんと答えてください。賞味期限を偽装したのは、上層部の管理責任という認識はないのですか!」
賞味期限、これもまた、愚かしい問題であると考えるのだ。賞味期限と消費期限の違いは、皆さんには分からないだろうから説明すると、賞味期限は美味しく食べられるまでの期限。消費期限はそもそも食べられなくなるまでの期限なのだ。ここで、私は命題を提示したい。美味しく食べられる期限など、果たしてあるのだろうか。出来たてが1番美味しいに決まっているのではないだろうか。
出来たてといえば、30歳の頃、駅前のマクドナルドへ寄った事がある。普段はマクドなど寄る訳もないが、その日は電車の人身事故により出発が遅れ、営業先へ間に合わぬかもしれぬと危惧してのやむを得ない処理だ。そこでセットを頼むと、やけにピカピカしたフライドポテトが運ばれてきた。どうやら出来たてであったようだ。普段食す(というか学生の頃食していた)フライドポテトは、男性器の機能不全のように折れ曲がっていたものだが、その日のポテトはひと味違った。出来たての美味しさを如実に伝えられるエピソードだ。美味しいといえば、梅田から少し離れた所にある味鶴という、それは美味しい日本料理の店早く答えてください!
[ん、あ、まぁ、ご想像にお任せします。]
「自身はこの事件を知らなかったと仰っていますが、同様の事例が全国で84件寄せられています。このことに関してはどうお考えですか。」
居酒屋へ行ったあと、皆さんは何を食べるだろう。安月給で労働している方々や、見るからに知識の浅い若人が寄るのはコンビニであろうが、我々はやはりラーメンで締める。ラーメンを食べるならどこだろう。大阪王将や一蘭など、定番も勿論良い。しかし、地元の味を楽しむのもまた一興だ。梅田で飲むなら、少し遠くなるが、先程述べた店から5分ほど歩いたところに「花月」というラーメン屋が(柏本さん…!)
[え、うん、まぁ、ご想像にお任せします。]
「全国で同じような事例が多発しているのは、パートの責任及び指示であるはずがなく、上層部ひいては社長の」そういえば、冒頭、小鳥がフラッシュのようだ、と比喩をした。が、とんだ勘違いをしていた。小鳥がフラッシュをするはずもなく、花火がフラッシュだと比喩をするべきであった。これは珍しくミスをしたもんだ。[え、ま、ご想像にお任せします。]比喩といえば、皆さんは「直喩」と「隠喩」という言葉をご存知だろうか。小説や詩に詳しい私は勿論知っていて、直喩とは(〜のようだ)などの言葉を使用して比喩をする技法。対して隠喩は、それを使[ご想像にお任せします]わないで比喩をする技法だ。直喩は表現[ご想像にお任せします]としては[ご想像にお任せします]よくあるが、私[ご想像にお任せします]が美しいと思うのは[ご想像にお任せします]やはり[ご想像にお任せします]隠喩[ご想像にお任せします]だ。隠[ご想像にお任せします]喩は[ご想像にお任せします]高難度であり、下手[ご想像にお任せします]をすると[ご想像にお任せします]陳腐になり[ご想像にお任せします]かねないが、[ご想像にお任せします]決まった時[ご想像にお任せします]の[ご想像にお任せします][ご想像にお任せします]かっ[ご想像にお任せします][ご想像にお任せします][ご想像にお任せします][ご想像にお任せします]こよさ[これにて会見を終了致します。お越し頂いた皆様、ありがとうございました。]
ばしゃあ ばしゃ ばしゃ ばしゃあばしゃあばしゃ ばしゃ ばしゃばしゃばしゃあ ばしゃあ ばしゃあばしゃ ばしゃ ばしゃあ ばしゃあばしゃあ ばしゃばしゃばしゃ ばしゃあ ばしゃあ ばしゃあ ばしゃばしゃ ばしゃ ばしゃ ばしゃあ ばしゃ ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃあ ばしゃばしゃあばしゃばしゃ ばしゃばしゃあばしゃあばしゃばしゃばしゃ ばしゃあ ばしゃあばしゃ ばしゃあ ばしゃばしゃ ばしゃばしゃあばしゃあばしゃあばしゃあばしゃあ ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃ ばしゃあ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます