第56話 一件落着?
ふぅ………。めちゃくちゃ強かった……
正直こんな奴があと5体もいるなんて、もう今から心が折れそうだ……
いや、呪いが解き放たれる前に回収してしまえばこんなことにはならないな。よし見つけよう。すぐ見つけよう。早急に見つけよう。
それよりも今はバルカンファミリーの安否だな。
バルカンは泣いていて、レーネさんはバルカンを慰めてるが彼女にも涙が見える。
そして問題の炎竜王はと………
おっ、取り巻いていた黒いモヤが消えた。これは完璧に呪いを払えたってことか。
そこで俺は大事なことを思い出した。
呪いって倒せばボールみたいになるんだっけ?
それ、回収できてねーじゃん。放置してたらまた復活するとかないよね?
俺は急いで呪いが立ってた場所に向かった。そこにはピンポン玉サイズの黒い球体が落ちていた。
「ライザーはこれを食ったら呪いを払えるって言ってたけどコレ食えんの?俺騙されてるんじゃない?」
そう、どの角度から見ても食べてもいいような見た目をしていないのだ。
ぶっちゃけ俺には【悪食】があるから食べれるには食べれるんだろうけど、食べようという気持ちが沸き起こらない。こんな気持ちは初めてだ。
しかし考えてみてほしい。誰が好き好んで地面に落ちていた真っ黒い物体ダークマターを食べようと思う? 俺は思わない。
でもコレ食べたら強くなれるって言ってたしな〜
でも見た目がな〜
でもコレ食べなきゃまた被害出るしな〜
熟考の末……………
「よし、食べよう」
仕方ない……、食べるか…
仲間を守る手段が増えることに越したことはないからな。これで死んだら末代までライザーを恨む。
俺はそのまま口の中に放り込んだ。
さぁ、どんな味がくる!?
……………カリッ
「…………うまいんかーーーーい!?」
『結果 』: めちゃくちゃ美味かった。
何これ美味っ!!呪いって美味いの!?
人の不幸は美味しいって一部の層は言うけど、こんな物理的に美味いもんなの!?
味は噛んだ瞬間コーラが溢れ出してくるような、シュワシュワしてとても美味しい。
すると……
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名前 : ゼノン
種族 : 魔王 レベル : 24
【体力】: 36700 (+3400) 【MP】 : 45290 (+3400)
【攻撃力】: 19570 (+6700)
【防御力】: 19770 (+6700)
【素早さ】: 20250 (+6700)
【運】 : 350
【ユニークスキル】
【悪食】【能力吸収】【鑑定】【成長促進】
【自己再生】【魔力回復】 【無詠唱】
【黒紋印 le.2】
【称号】
【中級魔王】【卵に負けし者】
【ユニークキラー】【ドライアドに認められし者】
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久しぶりのレベルアップいただきました。
凄ぇ、一気にレベル上がった。
頑張って倒した甲斐があるってもんだ。
それと呪いを払ったお陰か、黒紋印のレベルが上がっている。
【黒紋印 le.2】
レベルが上がるごとに強度の強化、射程範囲、威力が上昇する。呪いに対して与えるダメージが増える。
おお、黒紋印自体が強くなった!
今レベルが上がるってことは呪いを払えば上がっていくのかな?与えるダメージが増えるってことは多分そうなんだろう。
しかしこれではっきりした。黒紋印は呪いを払うためのスキルだ。俺が強かったから発現したのか、進化出来たのが今まで俺だけだったのかは分からないが、とりあえず分かるのはこれから色々なことに巻き込まれるのは確かだな。
まぁ、考えても仕方ない。
さて、俺の体の考察はここまで!
次はバルカンファミリーが大丈夫かどうか見に行かないと。
さて向かおうと振り返ると、バルカンとレーネさんとでかいドラゴンが仲よさそうに話していた。
邪魔したら悪いかなと思ったが、バルカンが俺に気づいて走り寄ってそのまま抱き着いてきた。
「よかった……本当に生きててよかった………」
知らずのうちに悲しませていたようだ。確かに腕がちょん切れたり、胸を貫かれたりしたがここまで心配してくれていたとは思わなかった。
「ごめんな。心配をかけた」
「おう………、それと…親父を助けてくれてありがとう………/////」
「あぁ、それは全然構わないんだが……」
とりあえずそろそろ離れてくれないかな?さっきから炎竜王が眼力だけで殺せそうなぐらい俺を睨んでくるんだよ。
とりあえずバルカンを無理矢理引き剥がして炎竜王に挨拶しておこう。
と思ったがバルカンを全然引き剥がせない。ちょっと待て、一旦離れよう。親父さんが口に何か溜めてるから!ブレス撃ってくる気満々だから!!
「あらあなた、大人気ないわよ?」
「止めてくれるな。奴は命の恩人だが、消し炭にしなければいけないようだ……!」
ほら殺す気満々だから!ちょっと一回離れてくれ!!
恩を仇で返されたくない!!
そのあと何とかバルカンを説得して離れてもらい、俺は無事に五体満足でバルカン家族の元にやってきた。
「改めて、現炎竜王でありバルカンの父の『ドラグノフ』だ。よろしく頼む。そして……お前は魔王だろ?」
えっ!? とバルカンが死人でも見たかのような表情で俺を見てきた。何だよ、俺の顔に何かついてるか?
それとドラグノフさんよ……すごくいいタイミングでネタバラシしてくれるじゃないか。理想的なタイミングだったよ。
いや、そんなこと考えるよりも早く返事と謝罪をしないといけないな。
「ああ、現魔王のゼノンだ。こちらこそよろしく頼む。それと…前魔王の無礼を詫びに来た。本当にすまなかった」
そう言って俺は深々と頭を下げ……
「嘘だろ!?ゼノン魔王だったのかよ!?聞いてないぞ!?」
……る前にバルカンが俺を遮った。
「そりゃ………言ってなかったからな」
「何で言ってくれねーんだよ!?」
「あとで知ったお前がどんな反応をするか楽しみだったからだ」
「このクソ野郎が!!」
「何だよ、そんなに怒るなよ」
「怒るに決まってんだろーが!!」
そんな感じでじゃれ合っているとレーネさんがすごく温かい目でこちらを見てくる。そんな目で見ないで下さ………炎竜王火を吹こうとするな!!やめろ!手を振りかぶるな!!
「ふぅ……別に前魔王の奴なんぞ気にしてないさ。事前に察知できなかった自分の落ち度だ。それよりも………早く娘から離れろ!ぶち殺すぞ!!」
おい、途中までいい感じだったじゃねーか!思念を混ぜるなよ!
そんな時レーネさんが爆弾を投下した。
「もうすぐ初孫の顔が見れそうね〜〜♪♪」
なぜ初孫!?何でその言葉を今言うんだ!?
「ちょ………、お袋何言ってんだよ/////!?」
おい、何で照れるんだ!?
「貴様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!
そのあと怒れる炎竜王の攻撃をひたすら避けまくる地獄の鬼ごっこが始まった。
レーネさんがドラグノフさんをぶっ飛ばして壁にめり込ませたことで一命を取り留めたが……
っていうかレーネさん強くない?
あんなでかいドラゴンをパンチ一発で壁にめり込ませたんだぜ?
これ、レーネさん一人で呪いに勝てたんじゃない?
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