恋愛相談に乗ってみたら、真面目で可愛い後輩女子に告白されていた。
久野真一
プロローグ 親友の縁結びを始めてみた
第1話 親友に恋愛相談を受けたがどうすればいいだろうか
「相談って何だよ、タカ」
10年来の親友に尋ねる。
ここは、某有名ファーストフードチェーン店。
俺たちと同じくらいの年代の男女をはじめとして、若者がひしめいている。
中にはカップルもちょくちょく。イチャコラしやがって。
俺は
まあ、インドア系オタクといったところだ。学校内のトラブル解決を請け負うことがあるので、「相談屋」と呼ばれることもあるが、勘弁して欲しい。
向かいに座るのは、
そんなタカから、相談があると言われたのが今朝。
こうしてファーストフード店で続きをすることになったわけだ。
「縁はさ、一目惚れの経験ある?」
親友から発せられた言葉に、一瞬意味がわからず、フリーズする。
「別にないが。いきなりどうしたタカ。熱でもあるのか?」
タカは大変モテるが、今まで告白してきた女子を全て振っている。
曰く「お互いのことをよく知らないのに付き合うのは違う」らしい。
贅沢な事だと思うが、気持ちはわからないでもない。
「恥ずかしい話だけど、一目惚れしたんだ。見知らぬ女の子に、さ」
そう告白するタカは熱に浮かれたようで、本気なことがよくわかった。
「……マジか?」
「うん。本当。縁は僕がそういう冗談言わないの知ってるでしょ?」
大真面目な顔で言われてしまう。確かにそういう奴だった。
「すまん。そうだな」
少し考えをまとめる。
「一目惚れをしたのはわかった。で、どうしたいんだ?」
そこが問題だ。できるなら手助けをしてやりたい。
「そこで悩んでるんだよ。僕はさんざん、よく知らない相手と付き合うのは違うと言って、相手を振ってきたわけだよね」
「まあ、そうだな」
「そんな僕が、一目惚れをしただけのよく知らない相手にお近づきになりたい、なんて
タカは本気で悩んでいるようだ。難儀な奴だ。
好きな相手に近づきたいなんて、普通だろうに。昔から変わっていない。
「タカは考えすぎだ。別に、好きな相手とお近づきになりたいなんて普通だろ?」
少し割り切り過ぎた言い方だったか。。
ただ、そうでも言わないと、こいつは自縄自縛に陥りかねない。
俺以外にはおくびにも出さないが、繊細な奴だしな。
「そうだね。そうかもしれない。気が楽になったよ」
幾分ほっとした様子のタカ。
「その女子の情報とか無いのか?力になってやれるかはわからんけどさ」
タカにはずっと前から借りがある。
こういう時にこそ力になってやりたい。
「成女っていえばわかる?」
「ああ、あのお嬢様高校か」
偏差値も高くて、俺たちの間ではお嬢様高校として知られている。
「成女の制服を着てたから、そこの子だと思う。2年みたいだから、同い歳かな」
一目惚れの割によく観察してるなと、俺は感心する。
「漠然としてるな。もっと情報無いのか?成女は知り合い居るから、聞けるぞ」
小学校の頃に知り合った女友達に、成女に通っている奴が居る。
そいつとは今も交流があるので、話を聞くことができる。
「それ、初耳なんだけど」
驚いた様子のタカ。
「そりゃ、聞かれなかったからな」
その女の子とは、通っていた塾が同じだったのがきっかけで知り合った。
塾に行って無かったタカが知らなくても無理はない。
「で、何かないのか?」
「うーん。背が結構高めだったかな。髪は染めてなくて、ロングヘア―で……」
思いつく限りの特徴を挙げて行くタカ。
特徴に当てはまる奴を知っているんだが、まさかな。
「そうそう。星型の髪飾りをしてたんだ。あまり見ないから、印象に残ってる」
「マジか……」
そこまで当てはまる奴といえば、もうあいつしか居ない。
偶然もここまで来ると凄い。
「どうしたの?」
「いや、なんでも。とりあえず、知り合いに聞いてみるわ」
「ほんと、助かるよ」
「気にすんなって。俺の方が借りが多いくらいだし」
本音だった。昔から、こいつには色々助けてもらったからな。
これくらい、大したことじゃない。
「いや。絶対、僕の方が借りが多いって」
そう言うと決まってこいつは反論する。
まあいいや。
夕方になって、タカと別れた俺。
さっさくスマホを取り出して、電話をかける。
さて、どう切り出したものか。
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