君が遺したもの
君がこの世を去った1週間後、陽葵のお葬式が行われた。
私は陽葵に別れを告げて、3本のひまわりを棺の中に入れた。
お葬式が終わったあと、私は陽葵のお母さんに呼び止められた。
『なんだろう?』って思っていると、「陽葵から咲良ちゃんに渡しておいてって言われたの。私は内容を見てないから何が書いてあるのかは分からないけど、見てあげて。」と言われ、手紙と日記らしきものを受け取った。
私は「分かりました。家に帰ったらきちんと読みます。わざわざありがとうございます。」と言った。
家に帰って、すぐ自分の部屋の中に入って、『何が書いてあるんだろう』って思いながらもそっと「咲良へ」と書いてある黄色の封筒を開けて、手紙を読み始めた。
大好きな咲良へ
元気?
咲良がこの手紙を見てるってことはもう私はこの世にいないってことだね。
小学校の頃、私と咲良は話すことすらなかったよね。
中学校になって、なんとなく前にいる人に話しかけてみようって思って話しかけてみたら、話しかけた人が咲良だったんだよね。
それから私達はすぐに仲良くなって、いつも一緒に行動して、2人で遊園地に遊びに行ったり、お泊まり会したり…
咲良とやったこと全てが凄い楽しかった!
私が余命宣告された時、咲良にすぐ言わなくてごめんね。
私がお母さんやお父さん、病院の先生、学校の先生に「みんなには言わないでほしい」って言ったの。
誰かに気を使わせたくなかったし、何より咲良がそのことで悲しむのを見たくなかったから。
結局咲良にはすぐにバレちゃったんだけどね笑
やっぱり咲良には敵わないや笑笑
私のお母さんからこの手紙と一緒に日記も受け取ったよね?
その日記には私が楽しかったこと、残しておきたいことが書いてある。
咲良との思い出のこともたくさん書いてある。
その日記は大事に咲良が持っててほしい。
咲良は私の最高の大親友だったよ!
私がこの世からいなくなっても、まだ咲良の心の中で私は生きてる。
空からずっと咲良のことを見守ってるね!
咲良!大好きだよ!!
陽葵より
私がこの手紙を読み終わると、陽葵と過ごした日々がよみがえってきた。
小学校のころ、校庭で鬼ごっこをしていた君。
小学校の卒業式が終わった後、桜の木の下で写真を撮っていた君。
いつもたくさんの友達に囲まれて、楽しそうにしていた君。
誕生日にプレゼントを渡すと笑顔で「ありがとう!」と言ってきた君。
海に行った時、水をかけあった時に笑顔だった君。
ひまわり畑に行って、ひまわりを見ている時に輝いていた君。
神経衰弱で勝った時に凄く嬉しそうにしていた君。
逆にスピードで負けたら、凄く悔しそうにしていた君。
ひまわり畑での思い出を話している時の切なそうな君。
夏祭りの時に花火を見て目を輝かせていた君。
最期の日、私がプリントなどを渡しに行った時に笑顔で接してくれた君。
最期、私が見えると途切れ途切れの声で私の名前を読んでくれた君。
もう会えない____。
そう思うとどんどん涙が出てきた。
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