第18話
次の日。
本日は曇りだが俺の心はいつもだいたい暗いことしか考えていないので、いつもと変わらず一人で登校、とは行かずに小牧に捕まってしまった状態で登校した。
最近は周りも俺たちの距離が異様に近いのを察しているのかは知らないが、やけに憎悪というか汚物を見るかのような視線で見られる時がある。流石に少し傷つく…。
「あら、神野くん。やけに元気がないわね」
俺が勝手に周りの視線を察して勝手に傷ついたのに気づいたのか、いつものように俺を苛める目で小牧が俺の腕を掴んだ。
いやだから何でそんなにくっついてくるんですか? 曇りとはいえ暑いです。
ほ、ほんとに! 暑いだけだけど離してほしいな!
「いや、まあ別に元気がなさそうに見えるのはいつものことだしな…それより離れてくれないか? 」
「いやよ。離れたらあなた、逃げるでしょう? 犬はしっかり手綱で縛るものよ」
「俺はお前の犬じゃねえよ! 」
ここ最近はこいつとはほぼ毎日一緒に登校しているお陰で周りも慣れてきたのか俺に向かって様々な感情の視線を浴びせてくるだけで何も言わない。
流石に校門も近くなったので俺は小牧を引き剥がすのを諦め、そのまま登校した。
校門をくぐろうとすると校門の端にぽつんと小さな人影が1人。言うまでもなく山上だ。
朝から友達待ってんのか、偉いなー…。
「あ、おはようございます! 先輩! 」
と思ったらただ単に俺たちを待っていたようでこちらにパタパタと駆け寄ってきて、小牧が居ない反対の方向に立った。
「お、おう。おはよう」
「おはよう。...いきなり近すぎないかしら? もう少し神野くんから距離をとったほうがいいわよ」
小牧は挨拶するやいな俺をこちらに引っ張り山上から距離を取らせた。
「い、いえ、別にそんなに近くはないんですけど…」
と言いそのまま数歩分離れた場所から山上が本題と言わんばかりに話をし始める。
「あ、あの、綾ちゃんが片桐くんはやめとくって言ったんです。だから、ありがとうございます…」
「いや、別に俺はほとんど何にもしてないからな…」
俺がしたこと言えばツイッターであいつの本性を拡散しただけだが、あれだって別に中身の人物は架空だし、ちょっと数人に広めただけで、あとは勝手に拡散していっただけだ。
「それでもです! 」
「お、おう」
数歩離れたところから一気に距離を詰められて俺は不覚にもドキッときてしまった。マジでこいつ可愛いな。
「うぉっ」
と思った矢先小牧の手によって再び俺は山上から数歩分の距離を取られた。
「だから近いわよ」
「えー…」
といい、各下駄箱の分かれ道で別れようとし
たその時だった。
「山上さん。告白の返事を聞かせてくれないかなぁ? 」
別れ道に待ち構えていたのは周りからの視線を気にしながらも山上を最後の獲物と言わんばかりの目線で見つめる片桐だった。
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