りんごの皮を剥いていく


りんごの皮にナイフを入れる。

するする赤から白へと変わっていく。

赤い糸がくるくる回る。

「待ってるの?」

頭の中の問いに、苦笑いが出る。

どうしたものかなぁ。

「私は待っているのかなぁ」


ほら、と見えた写真が、ずっと遠くへ広がる雲とグラデーションの空だ。

綺麗だねって空へとばす。

私の見ている空は曇っているのに、切り取られた空はとても綺麗だ。


待たない。待つのは疲れる。

でもきっと、返事が来たら、私は幸せだ。

私は浮かれて、ずっとうれしい。

私は、待っているのかな。


大切だから。会いたいから。

でも私は待つのが嫌い。

待ってる私がとても嫌い。

するするリンゴを剥いていく。

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