第16話 夢の中で

 

 長かった1日……俺はようやく家に帰ってきた。


 二人の妹が存在していた……楓と梢……同じ学校に……。


 ただ、今までも無くは無い。

 前世の因縁って奴かも知れない。


 日本人が日本人に転生するのは珍しくはない。

 魂は器を選んで転生するのだから……と思っていた。


 でも、今回の二人の話を聞いていると、その俺の予想は外れているのかも知れない。


 何か強い力、強い思いがあれば、器の方を魂に合わせてしまうのかも知れない。

 強い思い……それで二人に? つまり確率を上げる為に?

 人の命なんて、地球規模で見たら一瞬の時間、例えば100年置きに発生中していた来ていた地震や噴火が200年300年ズレる事など普通にある。


 200年とは人の一生2回以上の時間も地球からすれば一瞬の時間なのだ。


 時間、場所、その何処に着地するかもわからない転生、因縁の二人が出会う確率なんて天文学的な数字になる。

 それでも、虚仮の一念岩をも通す……未練か、希望か、思いか……強い気持ちを持ち続ければ、可能なのかも知れない。


 若しくは……特異点……。

 うちの学校が、いや、この地域が何かしらの特異点なのかも知れない。


 前世の思いは皆大なり小なり持っている。

 俺が見れるのはその一瞬だけ。

 それでも今まで何人も見てきた。前世の因縁を含んだ組み合わせを。


 あり時は恋人どうしとして、ある時は敵として、戦友として、兄妹として……皆それぞれ持っている思いがある。

 それを持って転生する。

 それが生まれ持った才能や性格となる。


 じゃあ俺達は……俺達兄妹は何を持って、どんな思いを持って生まれ変わったのか?

 

 ただの兄妹……そんなわけは無い。もしもそうだとしたら世の中前世が兄妹だらけになってしまう。


 妹が分裂してしまう程に俺に持ち続けた思いって一体……。


 俺はそのまま目を瞑った。


 今まで見てきた妹との前世を思い浮かべながら目を瞑る。

 眠ると記憶の整理が始まり、何かしら思い付いたりする。


 だから迷ったら、わからない事があれば俺は眠る事にしている。


 ベットに寝転び目を瞑って数分、精神的に疲れていたのか? あっという間に眠りに落ちていく。


 そして俺は夢を見た……いや、夢だったのだろうか? 前世の記憶を見たのだろうか?


 俺は妹に膝枕してもらい、頭を撫でてもらっている。

 優しく優しく俺の頭を撫でる妹、俺が見上げると、慈愛に満ちた眼差しで俺を見て微笑んでいる。

 まるで恋人を見る様に、優しく優しく俺に微笑む妹……。

 俺は安心する様にそのまま目を閉じる……妹のお腹を擦りながら……。



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