不死王の器

カイザ

序章 その男。異世界に降り立つ。

プロローグ

 熱い。


 固い地面はひんやりしているのだが、体中が熱い。熱くてたまらない。


 手を胸に当てて彼はようやく自分の今の状況に気がついた。


 ––––刺されたのか?


 胸を刺されたと自覚した瞬間。想像を絶する痛みが彼を襲った。


「痛い!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」


 そして口から言葉だけではなく、赤い液体を吐き出す。


 ––––血だ。血を吐いたのか。


 徐々に視界が赤く染まっていく。

 苦しい。死ぬのか?俺は。


 死の恐怖に体が震え始める。血も大量に吐き、胸の出血も止まらない。


「あ–––っ」


 死にたくない。と口に出そうとしたが、もう。まともに喋れなくなった。



 やがて意識も朦朧とし、ゆっくりと目を閉じる。


 次の瞬間。彼–––––海堂春太かいどうはるたは命を落とした。


 はずだった。

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