第27話 バズる!
昼前に寝たはずだったが、起きると夜二十時を回っていた。
ぐっすり寝たので快適な目覚めだったが、腹は減っている。シルヴィと一緒にケロリーメルトを食べたのが最後の食事だった。
まだ疲れが完全に取れたわけではないので、外に何かを買いに行くのも面倒に思い、冷凍食品のエビピラフをレンジで温めて、貪るように食べた。
これで大分満たされたので満足し、久しぶりにPCを起動すると、未読のメールが大分溜まっていた。
最初の方は多くが広告だったので流していると、やけにトゥイッターからのダイレクトメッセージが届いている。
ちょっと驚いてアカウントのホームページを開いてみると、
「あなたのアカウントにダイレクトメッセージが128件届いています」と表示されていた。
128件……いくらなんでも多すぎる!
とりあえず、古い順から読んでいくと、
「動画を見て驚きました! どうやって撮影したんですか?」
とか、
「ステキです!」
とか、ミーチューブにアップした内容に対する驚きや称賛の声だったが、中には
「どこかから転載したんだろうけど、それならちゃんと転載元を書いておかないと捕まりますよ!」
という、警告とも脅しともとれるような内容も少々あった。
一体、何があったのだろうかと、とりあえず自分が投稿した、あの美少女三人がスライムの群れを蹂躙している動画の様子を見に行ってみると……。
「再生回数……120万回!?」
たかだか数日で120万回以上も再生され、そして今現在もすごい勢いでカウントが上がっていく。
その動画に付けられたコメントも、送られてきたメッセージと同じく、多くの絶賛、驚き、疑問に加え、若干の否定的な意見もあるようだった。
とりあえず、一つずつ見ていくと……。
「なんだ、このパーフェクトなコスプレ異次元ハイレベル超バトルは!」
「これ、ショウのトゥイッターに出てた女の子じゃないか! 二人同時に映ってる! 動いてる!」
「エルフと獣人か……うおぉ! もう一人出てきたじゃないか! これは普通の女の子、か?」
「見た目はそうだな……うおおおおぉ! メイド服のまま戦いに参加するつもりだぞっ!」
「すげえ、獣人の子、ウル〇〇ンみたいな爪出したぞっ!」
「よく見ろ、籠手の先に三本の爪が付いているだけだ……けど、なんて素早い身のこなしだろうか!」
「あのスライムみたいなやつも、CGなのか? やけにリアルにプルルンしてるぞっ!」
「げっ、可愛い人間のメイド美少女だと思ってたのに、いきなり雷放ったぞ!
「すげえ、一発でスライムが何体も吹き飛んだっ!」
「エルフの娘も、むちゃくちゃ凛々しい! しかも弓矢連射していて、百発百中じゃないか!」
「あんなの、三人のなかで誰と戦ったって負ける……」
「……これアカンやつや……」
「なんでショウがこんな動画手に入れられるんだよ? 海外ルートで仕入れられるのか?」
「調査班、まだパクリ元は見つからないのか!」
など、少し読んだだけでこれだけ出てきて、しかもまだ相当未読のコメントが連なっている。
……正直、少し怖くなってきた。
まさかまさか、これほどまでの反響があるとは……。
重複して見た人はいるだろうが、のべ120万人を超える人たちが、ソフィアやシルヴィ、ミクによるスライムバトル動画を見てくれたのだ。
この事実……しばらくは本人たちには黙っておいた方がいいのかな……。
とりあえず、まだ全部のコメントは見えていないが、一度ミーチューブは閉じて、トゥイッターのメッセージの続きを読んでいくと、送信元が「朝読テレビ」というものがあって、ぞくん、と鳥肌が立つような思いがした。
恐る恐る中身を読んでみると……。
「初めまして、ショウ様。朝読テレビディレクターの前田と申します。早速ですが、今話題沸騰中のショウ様作成の動画を、ぜひ情報番組『ザップ』で紹介させていただきたく――」
……。
ええぇーーーーーっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます