冬に呪われた地

 暗闇の向こうから小鳥のさえずりが聞こえてきた。

 微睡まどろみに沈んでいた意識が、だんだんと浮かび上がってくる。


 薄目で窓の外を見てみると、地平線近くの空がすでに白み始めていた。

「……ん……もう朝か」

 本日の空模様は、珍しく雲一つない快晴だ。

 星のまたたきが残る藍色から、明るい青へと抜けていく空の色。その鮮やかな変化グラデーションが美しい。


 俺は体を伸ばしながら身を起こした。

 寒さに白く染まる吐息。今日も相変わらず冷えるようである。


 窓を見やれば案の定、そのふちが白く凍りついていた。

 続けて庭園をのぞいてみると、これまた予想通り、枯れた木々が雪化粧に飾られて、一面の銀世界が広がっている。


 いい加減、この一か月で見慣れた風景だ。

 代わり映えしない、雪と氷の世界。


 そういえば、朝日が昇る前に目が覚めるのは、ずいぶんと久しぶりだな……。

 そんなことを思いながら窓の外をぼうっと眺めていると、ちょうど景色の向こうから太陽がのぼってきた。


 まばゆい朝日が庭園を照らす。

 すると、風に舞った氷の結晶が、キラキラと光を反射して輝きだす。


「おお……!」

 その光景に俺は思わず感嘆の声を上げた。


 明け方の空はまだほんのりと薄暗い。

 そんな空の夜な部分でいまだ輝いている星屑ほしくず

 氷の輝きは、そのまたたきと相まって、まるで世界そのものが輝いているように見えた。


「もしかして、これがダイヤモンドダストってやつか」

 すごいな、初めて見た。


 直接お目にかかることは滅多めったにできない珍しい現象らしいが……やっぱり、本物はすごく綺麗きれいだ。

 とても貴重なものが見られて、ほんの少し得した気分になる。


 雪と氷に閉ざされた白亜の城。

 蒼くて、白くて、冷たい氷の屑できらめく世界。

 その光景は色褪いろあせることのない悠久ゆうきゅうの大自然を感じさせると同時に、触れてしまえば壊れてしまいそうなくらいに繊細せんさいで……。


 だからこそ、人はこの輝きを求めて生まれて来る。

 そう思えるほどに、この世界は幻想的で美しかった。




『冬に呪われた地』


 外の世界の人々は、この場所をそう呼んでいる。

 そして、その中央に位置する白亜の城――つまり俺が今いるこの城は『冬の城』と呼ばれていた。


 この城は魔の森の奥の、さらに奥に存在する。


 そこは、あらゆるものが凍りつく死の領域。


 永劫の冬に閉ざされた、悲しみの地。


 伝承によれば、氷の女王に呪われたあわれな国の末路だとか、あるいは豊穣ほうじょうの女神に見捨てられた祝福されざる土地だとか言われている……らしい。


 まあ、それが事実かどうかは知らない。そもそも俺にとっては、どうでもいい話である。


 だいたい、冬の城とか大層な呼ばれ方をしているが、その実態はただの廃墟はいきょだ。

 洒落シャレにならないほど厳しい極寒の地。

 美しい自然と表現すれば聞こえは良いが、要するに何もないド田舎なのだ。

 だが、住めばみやこという言葉があるように、今となっては俺もここでの暮らしに満足していた。


 確かに、この地の環境はかなり厳しい。

 年中を通して氷点下を下回る気候。

 おまけに、外の森には危険な猛獣だらけ。

 ついでに人里との交流もないから、食糧なんかの資源調達面でもかなり不便だ。


 普通に考えたら、とても人間が住める土地ではない。

 ――もっとも、それらの問題は今の俺にとって、何ひとつ障害にならない些事さじにすぎないのだが。


 実際、ここでの暮らしは決して文明的だとは言えなかった。

 だが、日本の現代社会に疲れた俺にとっては、むしろ理想的なスローライフだったのである。


 朝日に照らされてきらめくダイヤモンドダストに、夜はオーロラのカーテン。

 雪と氷に閉ざされた、荘厳そうごんなる西洋風の城。

 例えるなら――まるで童話の世界だ。


 それこそ子供向けのアニメ映画なら、ミュージカル調でお姫様が脈絡もなく歌い出す……そんな場面かもしれない。

 それほど美しい光景を独り占めできるのだ。それは最高の贅沢なのではないだろうか?


 しかし残念なことに……と言うべきかは分からないが、ここは現実だ。決して童話の世界なんかではない。

 それどころか地球ですらなく、本物の異世界だったりする。

 ある意味、童話の世界よりファンタジーだな。


 さらに言えば、この城に住んでいるのも、雪とか氷の女王なんてメルヘンチックな存在ではない。

 この冬に呪われた城に住んでいるのは――世にも恐ろしい姿をした魔獣なのだ。


 俺は全身で伸びをすると、ぬくい寝床から抜け出した。

 皮膚をつんざくような冷気が俺を包み込む。

 しかし、今の俺はどんな寒さにも凍え死ぬことはない。


 壁に掛けられた大きな姿見。

 そこには魔法で姿を変えられた俺の――の姿が映っていた。




 見間違いではない。鏡に映っているのは、何度見ても人間ではなく漆黒しっこくの魔獣。

 その正体はもちろん俺だ。


 当然、生まれながらにこんな姿だったわけではない。

 元々はまごうことなき普通の人間だった。


 ついでに言っておけば、人間だった時代の職業はブラック企業のIT土方だ。

 なかなかに非現実的でファンシーな話だが、この姿は魔法で変えられた結果なのである。


 俺が今居るのは、いわゆる異世界と呼ばれる場所だ。

 最近流行はやりの異世界転移というやつだな。


 地球こきょうから引き離された挙句、このクソ寒い中に取り残され、おまけに姿まで獣に変えられて……人間から獣の姿に、つまり畜生道に落ちているわけだから、仏教的に考えればこれも一種の転落人生なのだろうか?


 傍から見れば割と不幸な境遇なのかもしれない。

 しかしながらこの状況、俺はけっこう気に入っていた。


「うーん。俺ってば、いつ見てもカッコイイぜ……」

 姿見に映る今の俺は、ツノたてがみをもつ黒い狼のような姿だ。


 つやのある漆黒の体毛。


 それに包まれた、強靭かつ、しなやかな肉体。


 深淵で輝きを放ちそうな真紅の瞳。


 そして各所を覆う鎧の様な鱗や、全長の半分を占めるほど長く太い尾。


 全体的には哺乳類を彷彿ほうふつとさせる姿だが、ところどころ爬虫類っぽい特徴がある。

 その姿はむしろ「翼のないドラゴン」と表現するほうが近いのかもしれない。


 狼のように気高く。

 獅子のように力強く。

 黒い竜のように美しく。


 言うなれば『真紅眼のレッドアイズ・黒き魔獣ダークネスビースト』といったところか。


 ……ぶっちゃけるなら、今の俺はジン○ウガとナ○ガク○ガを足して二で割ったような姿なのだ。

 どう考えても格好悪いはずがないだろう?


 それとも、このたとえだと分かりにくいだろうか。

 要するにゲームに出てくる格好良い怪物モンスターに似ているのだ。


 まあ、俺も就職してからはまともにゲームなんてプレイできてない。あんなに大好きだったキャラクターたちでさえも、もはやうろ覚えだがな。

 今となっては時間はたっぷりあるが……このままなら二度とプレイすることは叶わないだろう。

 異世界生活ひと月目にして、少しだけ故郷が恋しくなった。

 ……恋しくなっただけで、帰りたいとは微塵みじんも思ってないけれど。


「しかし……そうか。もう、一か月も過ぎたんだな……」

 それはつまり、俺が魔獣となったあの日からひと月が経過したということである。


 あの日のことは、今でもはっきりと思い出せる。

 ていうか、あれは忘れようとしたってなかなか忘れられないだろう。


 なにせ、特別とか奇跡とか、そんな言葉とはてんで無縁だった俺にとっては、衝撃的過ぎる出来事だったからな。


 そう。あれは冬の寒い日のことだった――。


 * * *


 俺はあの日、自室のソファでうなされながら眠りこけていた。

 この城の部屋ではない。もとの世界で住んでいたボロアパートの部屋だ。

 帰りは終電ギリギリだったから、自室に到着したころには日付がとっくに変わっていたはずだ。


 悲しいことに、俺のようなIT土方にとって、終電で帰るのは何も珍しくはない普通のことである。

 むしろ俺は帰れるだけ、まだ恵まれていたほうだったのかもしれない。

 なぜなら人によってはネットカフェに自腹で泊まったり(もちろん経費では落ちない)、会社で寝泊まりする(シャワーや仮眠室なんて立派なものはない)のが当たり前なのだから。

 ……まあ、多少マシだったからといって不満が無い理由にはならないが。


 ちなみにその日は土曜日だった。

 俺が勤めていた会社は一応完全週休二日制をうたっていたはずだが、俺がその会社に入ってから土曜日が休みであったことなんてほとんどない。


 そして翌日の日曜日にもしっかりと仕事の予定が入っていた。

 安息日に出社するとは、今思えば神すらも恐れない悪魔の所業である。

 しかもこれで給与が最低賃金ギリギリ……冷静に考えると、本当にひどい職場だったな。


 今でこそこんな風に冗談めかして笑えるが、実際は割と笑えない状況だ。

 しかし当時の俺に余計なことを考える精神的余裕はなかった。人生詰みかけていることにすら気付けなかったのだ。


 すでに軽く超えていた三十連勤。

 朝から深夜まで三十日間連続労働。まともな食事も睡眠も取れないのに、普通に考えて体力がもつわけない。


 世の中の人々は知っているだろうか?

 体験者として警告しよう。


 過労死は実在する。


 疲れを蓄積したままにすると、人は本当に死ぬ。

 比喩ひゆでも誇張こちょうでもなく、ガチで死にかける。


 そしてブラック企業というのは体を壊した人間に対して、いたわるどころかペナルティを与えてくるのだ。


 ホワイト企業に勤めていらっしゃる上級国民の皆様方は、ありえないと一笑にすかもしれない。

 しかし、これはまぎれもなく現実の話である。ゆえにブラック企業はブラック企業と呼ばれているのだから。


 しかし社会人たるもの、生きるためにはお金を稼がなければならない。

 たとえそこが未来の見えない闇企業であったとしても、この決して景気が良くない世の中、転職の当てがなければそこで死ぬまで働き続るしかないのだ。


 だから俺は必死の思いで眠りについていた。

 効き目のなくなってきた睡眠薬をたくさん飲んで……少しでも早く楽になるために。

 しかし午前二時を回った頃、ひとつの音が冬の夜の静寂を切り裂いた。


 ――――ピンポーン。


 無慈悲な玄関チャイムが、暗い部屋に鳴り響く。

 IT土方の貴重な睡眠時間。それを奪うなんて、悪戯いたずらだとしたら絶対にゆるされない。地域によっては戦争ものの所業だろう。

 そもそもがあまりにも非常識な来客。当然、俺は無視を決め込んだ。


 だが、いくら待てどもチャイムが止む気配はなかった。

 ピンポーン、ピンポーンと繰り返す無機質な電子音。

 悔しいことに、俺はそんな神経を逆撫でする騒音の中で眠れるほど図太い性格をしていない。

 なにより、放っておいても近所迷惑だ。

 そう思った俺はソファから起き上がり、しぶしぶ玄関に出向いた。


 そして不機嫌にドアを開けると――そこには、みすぼらしい格好をした婆さんが立っていた。




 ……さて、結末はすでに分かっているのだし、長々と無意味な回想をする必要はないだろう。


 一言で言えば、その老婆の正体は魔女だった。

 魔女は一晩の宿を拒絶した俺の冷たい心をとがめ、その罰として俺は魔獣の姿に変えられた。

 そして気が付けば、俺はこの呪われた冬の城に取り残されていた……というわけである。


 うん。どこかで聞いたことのある展開だな。

 と言うよりこの流れ、まんま『美女と野獣』のオープニングと同じだ。

 わざわざ異世界に城まで用意しやがって。あの魔女はきっと、コアなディ○ニーファンだったに違いない。

 ネズミのキャラクターと言えばピ○チュウ派である俺とは相容あいいれない存在だな。


 人間が魔法で動物に姿を変えられる。古今東西あらゆる物語で見られる陳腐ちんぷな展開。

 だが、それが実際に自分の身に降りかかったなら?

 普通の人間なら、とても平静な気持ちではいられないだろう。

 しかも俺の場合、獣に変えられた理由があまりにも理不尽すぎた。


 確かに、多少なりとも俺の心がすさんでいたことは認めよう。

 せめて警察に押し付け……いや、連れて行ってやるべきだった。


 だがそれを差し引いても、俺が罰を受ける理由にはならないと思わないか?

 俺みたいな小市民なんかより、他に罰を受けるべき悪党はたくさんいるはずだ。


 心が冷たい? はっきり言わせてもらえば、余計なお世話だね。

 だって考えてみてほしい。

 例えば貴方の家に見知らぬ老婆が訪問してきました。しかも時間は真夜中です。さて、この状況でこのお婆さんを追い払わない現代人が、はたしてどれだけ存在するだろうか?


 いくら日本の治安が良いと言っても限界がある。

 もし仮に、あんなあからさまな不審者を平気で自宅に上げるやからが居たならば、それはそいつの危機管理能力を疑うべきだ。


 要するに、追い払うほうが正常な対応であったと俺は主張したい。

 どう間違っても俺が咎められる筋合いはないのだ!


 ……まあ結果的には、かえってこれで良かったのかもしれないけどな。

 むしろ今となっては、俺はあの魔女に感謝すらしていた。


 どうしてこんなにも余裕なのかって? それは、この冬に呪われた地にて、俺はかけがえのないものを手に入れたからである。


 誰もが望む素晴らしき宝物。


 その正体とはすなわち――『自由』だ。


 そう。冬の城で過ごすうち、俺は気付いてしまった。

 別に魔獣のままでいいんじゃないかと。


 実際、魔獣の姿で一ヶ月いっかげつを過ごしたが、何も不都合はない。

 むしろ人間だった頃よりずっと経済的ですらあった。


 例えばこの姿なら、完全に飲まず食わずでも平気でいられる。


 吐く息が凍りつくような寒さにだって平気で耐えられる……もちろん寒いとは感じるのだが、氷点下でもストーブや暖房なしで十分我慢できるって意味だ。


 さらにはオオカミやクマに襲われても返り討ち。

 ちなみに、この城から一歩でも外に出れば、其処そこはもう危険地帯。特に“枯れ木の森”には多くの猛獣が生息している。


 ……こうして列挙してみると、なかなかハードな一ヶ月いっかげつだったな。

 もし人間のままでこの城に取り残されていたら、俺は三日と待たずに死んでいただろう。


 だが、本当に重要なのはそれらじゃない。

 最も大事なのは『俺がこの冬の城に取り残されている』という事実そのものだ。

 当然ながら俺には帰るすべがない。

 ということはつまり――この冬の城に居れば俺はのである。


 いや~困ったな!

 でも仕方ないよね? だって会社行けないんだもん!


 明日も、明後日も、それどころか、これからはずーっと毎日が休日なのだ。

 この仕事に対する不誠実な態度よ。我ながら、見事なまでのやる気の無さだな。

 しかし、もし俺と同じ境遇になったら、この結論に至る人間は決して少なくないはずだ。


 いわゆる社畜と呼ばれる生き方には希望が無い。

 未来の見えない労働に明け暮れるだけの毎日。そんな暮らしは精神すらも殺してしまう。

 疲弊ひへいした心は判断力も失って、下手すればスマホに搭載された人工知能のほうがよっぽど人間味がある。

 昇給もなく、安月給で使い潰され、サービス残業も当たり前。

 年金を払うために貯金ができないという、笑えない冗談のような現実が容赦ようしゃなく心をへし折りに来る。


 まさに、現代社会の闇だ。

 しかし魔獣になれば、そんな暗闇の中の人生から解放される!


 この大自然の中で、光あふれる自由な生き方。

 ああ、これ以上の幸せがどこにある?


 新しい住家は冬の城。ブラックサラリーマンの年収では、あきらめるしかなかった夢のマイホーム。

 ちょっと冬に呪われているみたいだが、もともと住んでいたアパートだって事故物件だ。何も問題はない。


 というわけで、もはや俺には人間に戻る理由も、ましてや地球に帰る理由もなかった。

 これからは魔獣として、気ままな隠居生活を満喫するのだ!

 異世界万歳バンザイ! 魔獣転生万歳バンザイ!!




 俺は腕を伸ばしておごそかな装飾のなされた手鏡を取った。

 これは魔女からもらった魔法の鏡だ。

 一見なんの変哲も無い鏡だが、俺が命じれば望むものを何でも映し出してくれる。


『望むものを何でも映し出す』ということはつまり、応用すればこんなこともできちゃうのである。


「ニ○ニコ動画を見せろ」


 命令に呼応して鏡の表面が水面のように揺れる。

 そして鏡の向こうにニコニ○動画のトップ画面が映し出された。


「お、新作来てる」

 俺は適当に面白そうなゲームの実況動画を見つくろい、それを再生するよう手鏡に命じた。


 ちなみにこの鏡、スマホと同じような感覚で操作もできる。

 さすがは魔法の鏡。超高性能なスマートミラーである。

 俺は平日の朝からネットサーフィンするという究極の贅沢ぜいたくを満喫していた。


 自分ために時間を使う喜びを俺は噛み締める。


 社会と呼ばれる、嘘と苦痛と搾取さくしゅが渦巻く絶望の輪廻りんね

 その地獄の螺旋スパイラルから解脱げだつできた俺。


 人間でなくなった代わりに、社畜でもなくなった。

 長い苦節の時を経て、やっと俺は俺自身のものとなったのである。


「――きっと幸せとは、こういうことを言うんだろうな」


 ソファに寝転がり、鏡の向こうに広がるネットの世界にのめりこむ。

 俺は今、この世の生を謳歌おうかしていた。


 * * *


 だらだら動画を見たりネット小説を読んだりしていると、ふと部屋が暗くなっていることに気が付く。

 窓の外を見ると、空がだいぶ暗くなっていた。


「なんだ、もう日が沈んだのか」

 天気もいつの間にか崩れており、チラチラと雪が舞い始めている。


 こっちの世界に来てから、一日がとてつもなく短くなったように思える。以前は精神崩壊しそうなまでに長く感じていたにもかかわらずだ。

 まさに「きがつくと夜だった」って感じだな。


「……よし、寝るか!」

 俺は寝床に潜り込んだ。


 夜になったら寝る。それは当たり前の話。

 むしろ真夜中まで仕事をしている毎日のほうが異常だったのだ。


 無為で非生産的で、そして心穏やかな日々。

 日本の現代社会で忘れられていた、生物本来の伸びやかな生き方がここにはあった。


 これからは一人で、のんびりと、自分のために、好きな事だけをして生きていこう。

 そう……魔獣な俺のスローライフは、これからだ!




 くぅ~、社会人生活に疲れました。これにて完結です!

 皆! ご愛読ありがとう!


 我が素晴らしき人生に祝福を!

 今は魔獣だから厳密には『人』生じゃないけど。


 俺先生の次回作、『強靭不死身の魔獣王 ~美女の愛はノーサンキュー~』にご期待ください!

 では皆さん! さよなら、バイバイ、御機嫌よう!!






「なにを馴染なじんどるんじゃ、このたわけ者がぁ!!」

 かん高い少女の怒声が部屋の中に響いた。

 振り返ると、そこには俺をこの城に連れてきた魔女の姿があった。



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