あたしは見習い勇者

異世界への召喚

第36話 不思議な夢

 ……ピ、ピ、ピピピピ……

 目覚まし時計の音……

 眠いよお~もうちょっとこのままで……


「朝ご飯よ。起きなさい」

お母さんの声だ……もう少しくらいは大丈夫……なはず

「詩織! いいかげんにしなさいよ!」


「は~~い、今行くよ」

 眠い目をこすりながらベッドから体を起こした。

 はっきりしない意識と一緒に、二階の自分の部屋から居間へと階段を下りていく。

「おはよう詩織。随分眠そうねえ」

 お母さんが朝ご飯の仕度をしながら、パジャマ姿のあたしを見た。


 ……ふぁあ眠い。


「おはようお母さん……最近、夢ばっかり見て熟睡出来ないよ」

 朝ごはんの支度をしながら、お母さんが私をチラリとみる。

「夢っていつもの?」

「うん、魔法の世界で男の子と冒険する夢」

「ふ~~ん、よく見るわねその夢。それでお話に進展はあったの?」

「お母さんが好きな連続ドラマじゃないの。夢なんだから都合良く続きは見れないよ」

「ふふ、それは残念ねぇ。あ、もしかして詩織……」

 急に母が言った言葉に驚く私。

「誰か好きな人でも出来たんじゃないの」

 なにげない言葉にドギドキするあたし。


「ええ!? でも確かに同じくらい……ちょっと年上かな夢の中の彼。年齢的にはあってるかもね」

 私の言葉にお母さんは少し呆れて答える。

「それは良かったわね。まったく……夢のことばかり言ってないで早く食べちゃいなさい」

「は~~い」


 私はまだ中学生で彼氏もいない。欲しいのは想像の中の男の子に対して。

 リアルの男子は粗暴で興味がなかった。

 夢の中の男の子に親近感を持つのは、実在しないからだろうね。


「いただきます!」


 今日の朝ご飯はベーコンエッグにバタートースト。

 そしてあたしのお好みのグレープフルーツのジャムが、プレートに添えられている。コンロの火を止めて台所から、お母さんがダイニングテーブルに近づいてくる。


「はい、コーンスープよ」

 暖めてもらったスープを受け取り、プレートの横に置いてある大きめのスプーンを取る。

「ありがとうお母さん」

 丁度良い暖かさのコーンスープには、やっぱりあたしのお好みのコーンが多めに入っている。


「そういえば、横浜のお婆ちゃんが、詩織に会いたがっていたわね」

 お母さんは自分のコーヒーをいれて、カップを持ちあたしの前の席に座った。

 しばらくあたしの食べる様子を見ながら、コーヒーを口していた。

 あたしはコーンスープにスプーンを入れかけて、お母さんに答えた。


「あれ? そういえば最近会ってないか。明日から春休みだし行ってみるよ」


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