第17話 ネットショップを使ってみた日

コンコンッ


「はーい。あっ、千尋くんか。ねぇ、昨日、なにかすごい叫んでいてうるさかったんだけど……なにかあったの?」


「あ……うるさかった……?」


「うん、すごくね。」


《はい、私も同じくうるさかったなー……とは思いましたけどね。》


 なんか悲しいな。味方が一人もいないなんて……いや、僕も振り返ってみれば、うるさかったな……ってなったんだけど。


「とりあえず、入っていい?」


「あ、えーっと……こっちはちょっと実験とかしてたら汚れちゃって……だから、千尋くんの部屋の方でもいい?」


「あ……」


 でも、前入ったときもダンボール箱で、結構汚れて………はいなかったね。うん。汚れてなんてないよね、うん。


 こんな子が……っていうか同級生だけど。でも高1になって部屋が汚れているなんてないよね、うん。うん、うん。


 ……なんか、精神攻撃をくらってしまったような。あっ、僕も楓さんと同じ同じ高1だからか。


 ゴホンゴホンッ。


 それで、ねぇ、ナビゲーター。僕の部屋ってどんな感じだったっけ?


《えーっと……まぁ、少し汚れてはいますが、ある程度は片付いているので大丈夫じゃないですか?》


 そう……? なら、まぁいいかな。


「うん、いいよ」


「ありがとう、千尋くん」


 やばいなぁ……。


 なに、この可愛さ? なんか特別なスキルでもあるの? 魅了とか魅力補正みたいなのとか……?


《しょうもないですね……。いや、ステータスみたからわかっているでしょ。》


 いや、まぁ知っているんだけどね。そんなナビゲーター曰くしょうもないことを思いながら、楓さんと僕の部屋に入っていった。


「お邪魔しまーす」


「どうぞ」


「わぁ、この部屋きれいだね。私の部屋とはもう大違いだよ、これ。同じアパートの一室ですか? って感じくらいだね」


「まぁ、うん。一応家事はひとり暮らしをする前にお母さんから習ったからね。」


「いいなぁー。ねぇ、私の分の料理も作ってくれないかな?」


「まぁ、いいよ。別にあんまり変わらないしね」


「……待って。今思ったんだけど、私、千尋くんのためにしていることが1つもないような……?」


「いやいや、話し相手になってくれるだけでもすごく嬉しいよ。だって、ひとりでは寂しいじゃん」 


 ナビゲーターは人じゃないし。


《でも、私、話し相手にはなってないですか?》


 まぁね。でも、なんか寂しいような気がするんだよね。生身がある人間と喋ってないからかな?それとも……脳から直接喋っているからかな?


《……それなら、私には解決しようが……いや……はい。まぁ、ありませんね。》


「まぁ、そうだね。じゃあ、一生懸命話し相手を頑張るよ」


「ありがとう。」


「そうだ、で、用事ってなんですか?」


「あ、楓さんはもしかして、僕のステータス画面をまだ見ていないの?」


「はい? えーっと、じゃあ見てみますね。《ステータス》」

「…………は?いや、えっ!?」


「そう、第2職業が追加されていて、他にもいろんなスキルが増えているんだ。」


「これは……もう、うん。あなたは神になりました。パチパチパチパチー……」


「いや、別に神になんてなっていないけどね……」


「いやいや、もうこれはもう、うん。神ですよ。神って言ってください。そうじゃないと私の人生が全然だめなやつみたいにみえますから。だってそうでしょ。このステータスが人間なんですか?……いやいや………グチグチグチグチ……だって……グチグチグチグチグチグチグチおかしいって……………グチグチグそんなの………チグチグチグチグチグチグチグチグチグチグチグもう神でしょ………チグチグチグチ……」


 おぅ、これは……。


 そして、なだめるっていうかこの症状みたいなものを抑えるのに10分間かかりました。


 あと、代償も2つ。


 1つ目は、僕は、楓さんの中では神ってことになりました。……っていうか、宣言させられました。うぅ……、別に神じゃないのに……。


 2つ目は、これ。


「わかりましたよ、わかりました。それなら、楓さんに1つなにか力みたいなのあげるから」


「えっ……本当に?」


「うん、ネットショップっていうのが使えるようになったからね。」


「へぇー」


 そう、なにか力を与えないといけなくなったんでございますよ。いや、まぁいいんだけどね。パートナーとなる身、死んでしまうなんてことがあったら耐えられない。


 まずはとりあえず、ネットショップを使ってみることにしましたんでございます。


「まずは、《ネットショップ》」


 すると、ステータス画面のような、ガラスが出てきた。


→買う


 レベルが1だからだろうか? まだ買うの部分しかない。ふつうは売るとか……なんとかある気がするんだけどね。


 ねぇ、とりあえずレベルを2まで上げてみてくれないかな。


《はーい。》


《スキルポイントを1ポイント使い、スキル ネットショップのレベルを2まで上げました。》


 すると、画面が少しだけ変わっていた。


→買う

 売る


これで、まぁとりあえず買うの部分を押してみるか。


 ポチッ


→食料、飲料

 スキル


 2つか。まぁ、レベルが2だからこうなっているんだろうな。


 それで、今は力が欲しいっていうことだから、スキルを押して……っと。


ポチッ


→耐性系

 状態異常系


 えーっと……どっちがいいかな? まぁ、とりあえず楓さんに聞いてみるか。


「楓さん、ネットショップでスキルが買えるらしいんですけど、それで今は耐性系と状態異常系があって、どっちがいいですか?」


「それはもちろん、状態異常系かなぁ。耐性系よりもずっと応用できるから」


「そうだね」


ポチッ


→状態異常…毒

 状態異常…麻痺

 状態異常…盲目


「えーっと……じょあ、状態異常だったら、毒と麻痺と盲目っていうのがあるんだけど、どれがいいかな?」


「うーん……。それなら、麻痺と盲目なら、モンスターを討伐となると難しそうだし、毒かな。でも、いいの? ノリで頼んじゃったとはいえ、申し訳ないよ……」


「うん、いいよ。全然大丈夫。僕が力を独占するっていうのはちょっと申し訳ないからね」


ポチッ


状態異常…毒

消費Tポイントは、100ポイントです。買いますか?


所持Tポイント……195


 ん、なにこれ? Tポイントって何?


《えーっと……Tポイントっていうのは、討伐ポイントのことで、モンスターを討伐するごとに、Tが入るんです。ちなみに、魔石を売ると、Tポイント増えますよ。》


 へぇー。じゃあ、まだよくわからないけど、結構討伐していたようなんだね。まぁ、いいや。買おう。あ、それで対象を楓さんにしてくれない?


《はーい、もちろんです。》


《所持Tポイントを100ポイント消費して、スキル 状態異常…毒を獲得しました。対象……高木楓》


「あっ、スキルが増えたよ。ありがとう。私のワガママなのに、本当にありがとう」


「いやいや、別にいいよ。これからは、それでレベルを上げたらどうかな?」


「あ、うん。せっかく千尋くんからもらったからね。頑張るよ」


「それで、僕は一応アイテムボックスを獲得することができたし、コンビニとかスーパーに行ってくるよ」


「分かった。私も行きたいんだけど、やっぱり足を引っ張ってしまいそうだしやめてくよ」


「うん、分かった」


 そして、その後は明日いろんな食料が手に入るということで、今日の昼ごはんと晩ごはんは豪華だった。


 その後、ふたりでモンスター討伐祭のようなものをして、レベルは僕は12。楓さんのレベルは5まで上げった。

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