第2話

目が覚めると俺は目の前に人が立っているのが見えた


「…」


目を合わせても動揺する様子もない



「おはよう」


なんとなく挨拶をした


「…おはよう…起きろ」


男のような女のようなあんましわからない声でフードを深くかぶった奴顔が見えない不思議な奴だ


二度寝しようかなと寝る体制に入った瞬間俺の体が引きずられるのを感じた…まぁそんなことはどうでもいいと二度寝した


目が覚めるとそこにはさっきのフード野郎がいた

周りを見渡すとここは飲食店の中だということがわかった、しかも俺は椅子に座って寝てた


「…なんのようだ?」


俺は目の前の奴に問いかける


「…私と組んでもらいたい」


「組む?」


俺はなんのことだか全くわからなかった

ヤバい組織に関わっているわけでもないし、得体の知れない奴と何かをしたこともない


「…お前は弓使いだったな」


「なんでそれを知ってる!」


「…冒険者ギルドで噂されている」


「なにを?」


「…弓使いのくせに冒険者になった奴がいると」


「ほぉそれは俺じゃないかもしれないな」


「…それはないお前は毎日薬草取りのクエストをしているのを見ている」


「弓使いじゃないかもしれない」


こんな怪しいやつを疑わないでどうする何か企んでいるに違いない


「…ギルドではこうも言われている」


「なんと?」


「無能の弓使い」


「…」


はぁなんでこんな弓使いに対して当たり強いんだろ…まぁ確かに魔物とか強い奴になると無意味に近い攻撃になるけど、そこまで無能ではないと思うんだけどな


野生動物も遠くから狩れるし


あとは……まぁいいだろう


「で?その無能の弓使いになんのようだ」


「…話を聞いているのか?私は言った組んでもらいたいと…」


「組むってなんだ?暗殺とかはお断りだぜ?」


「違うパーティーを組んでもらいたい」


「へぇ?なんで弓使いなんかと?」


組むにしたって無能職となぜパーティーを組もうとするのだろうか謎である


「…私は錬金術師だ」


「そうか暗殺者…え?錬金術師?」


「暗殺者ではない…」


「錬金術師…錬金術師がなんで冒険者なんかに?」


「錬金術師は案外金がかかり生活ができない」


「へぇ~」


「だから冒険者に」


「そうか…で弓使いなんかと組む理由は?」


「…相性の問題だ」


「相性?」


相性?なんだろうな相性ってこいつと性格が合うって感じもしねーしな


「弓使いは矢が多く運べないため冒険者にはなかなか厳しいと聞いた」


「まぁそうだな…矢は幅を取るから持ち運び辛いし森を歩くにはなかなか厳しいものがあるな」


「…そこでだ私は錬金術師だから矢を作ることができる」


「ほぉ」


「私が薬草を取ってる間周りを見張ってもらうことで安全も確保できる」


「うん」


「矢の分の薬草を持つことができるので利益もアップ…つまり安全性と利益を上げることができる」


「で…利益が一番確保できる奴が弓使いだったと」


「…そうだ」


「わかった…でもお前が錬金術師と言う証拠はあるのか?やはり俺が見る限りお前は暗殺者にしか見えないのだが…」


「…確かにそうだったな」


「さぁ見せてみろ!お前は本当に錬金術師なのか?」


疑わないとこっちが騙される可能性があることを昨日気づいた


あのクソ女め!


《錬成》


そう奴は唱えると木のコップを木の短剣にしてしまった


「本物か…」


となるともう信じることにするしかないだろう

お前が嫌いだから組まないなんて言うふうにできるほど人生甘くないだろうしな


暗殺者だと思ったんだけどなぁ


俺たちは店を出て薬草を取りに行く


薬草採取は常時募集中なのでわざわざギルドにクエストを受けずとも納品するだけで完了する楽なクエストだ


でも楽なクエストとも言っても魔物やらなんやらが出てくるので危険なクエストだ一般人が行くには危険だ


ふと街を出ようとした時に気づいた弓を持ってないことを


「あの~ごめんなさい弓盗られちゃって…ちょっと買ってくるんでまっててください」


「…大丈夫だ私が作れる」


「え?つくれる?」


「あぁ」


「…じゃ行きましょうか」


なかなか有能な人間じゃないのか?弓って職人とかが作るんじゃないの?


そして今日も衛兵に話しかけられる


「よう無能の弓使いくん!今日も薬草取りに頑張れよ?死ぬんじゃねぇぞ?」


そう言って笑いかける衛兵


そのあだ名は嫌いだ!



歩いて30分くらいのところで薬草のたくさん生えているところを見つけた


「…私が取っているから見張りを頼む…」


「おーけー」


錬金術師が薬草を取り始めると俺も薬草を取り始める


「…見張りを頼むって言ったはずだが?」


「見張ってるよ」


俺にはある能力があるそれは半径百メートル前後調子によるがどのような動物が動いているかわかる


「どうゆうことだ?」


「百メートルぐらいはどんな動物が動いているかわかるから俺」


「…そんな能力が…」


「てかさ…お前フードしてて見えづらくないの?あぶねぇぞ?」


「…確かにそうだが…あまり顔を晒したくない」


わかったぞこいつ


コミュ症だ!俺も軽度に入ってるからわかるんだよね、人に顔見られるとめっちゃ恥ずかしくなって話せなくなったり篭ったりして…


こいつにはじめて仲間意識湧いたわ


そして数十分くらいすると持ってきた袋がパンパンになるほど取れた


薬草の取りすぎだって?俺しか薬草採取してねぇから問題なし


俺は金をもらえて、街の人間は薬を作れたりするからハッピーとWin-Winの関係だ


帰りの途中ある反応があった


でかいな


「錬金術師、弓を作ってくれ!」


「…どうした?」


「おそらく魔物だここから北西の百メートルにいるこっちにおそらく気付いている」


「…わかった…」


《錬成》


《錬成》


《錬成》


「…すまない急造だとあまり出来は良くないが」


そう言われて手渡されたのは不格好な弓と矢だった

しかし弦を弾いてみるとなかなか力がいる

おそらく攻撃力は高いだろう


で問題なのが矢だ


弓で最も重要とも言ってもいいのは矢だ


木の棒でも飛ばしとけばいいじゃん?


誰だそんなこと言った奴


矢はバランスが大事だ何しろ少し後ろの羽がないだけでも飛距離安定性が全然違う!


まぁ今回は護身用だ


矢は質はよろしくないがまぁいいだろう



「じゃ逃げるぞ!」


「!?戦うから用意したのではないのか?」


「弓使いが無能職だってしってるだろ!これは護身用だ!目の前に来てからじゃ遅いだろ!」


「あっ、あぁそうだな」


「くそっこっちに向かってきてる!行くぞ」


俺は錬金術師の手を引っ張り街の方向に走り出した


しかし走っているのに徐々に距離が狭くなっているこれだと追いつかれる


「錬金術師!あの木にのぼれ!」


俺が指をさしたのは普通の木よりも少し高い木


俺と錬金術師が登りきって後ろを見てみると



血の色のような目をした熊がいた



「熊かよ!どおりでデケェわけだ」


さてどうして逃げようか

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