初めまして、フランス

日本と同じようにICカードを、AT HOTカードをタッチして改札を抜けた


階段を下りてSylvia Park(シルビアパーク)駅へ寄る、Manukau(マヌカウ)行き1番線へ向かう。


Britomart(ブリスマート)駅は終点で始発らしく後方に線路は無い


このいかにもスタート地点ってこの雰囲気、僕は好きだ


アナウンスや時刻表など全部がぜんぶ英語で、見慣れている駅の構内なのに


全く違うものに見える。


電車が来て扉が開いた。


ここはニュージーランド北島の最大都市オークランド


たくさんの人が降りてくるのかと思ったが全然人がいない。


僕は普通に座ることができた。


ニュージーランドの電車内人口密度は、きれいに盛ったフランス料理みたいな感じ


この量でこんな大きなお皿つかう?って感じで、JR北海道の日中の普通列車もこんな感じだった


見慣れてる電車内の見慣れた風景


さっきは地上で、4月の北海道の暦風に似た風にあたった


そのせいか北海道を思い出し、僕は感傷にも浸った


まだニュージーランドに来てから、2か月しか経ってないのに


拠点をPtaruru(プタルル)、Tauranga(タウランガ)と2回変えて


そして、はじまりの地、Aukland(オークランド)に帰ってきた。


その間に警察沙汰にもなったし、ヒッチハイクをしたり、穴(ケツ)の穴の恐怖を感じたり

ワーキングホリデーの人生は壮絶だなと、


北海道にいたら出来なかった、あの日憧れた


心がわくわくすることを出来ていたんだなと電車の中で振り返る


電車は振り返らず前へ進んだ。僕も前へ進む。


20分ほど電車で揺られ[We are soon alive at Sylvia park」と音声が聞こえた


次がSylvia park(シルビアパーク)駅


事前にフランスに駅に着く時間をメールに入れていた僕


電車から降りるとフランスであろう人から話しかけられた


「hi are you トモダチわかの?」


「はい!!友達っす!」


フランスはフランス人みたいな顔立ちではなく東南アジアの人っぽい背格好、顔だった


「よかった。roller bag(キャリーケース)モテるからわかりやすい」


そういった後に「nice to meet you 」と続けた


僕も「Nice to meet you too」と答えた。


キャリーケースを引いて歩いてるからroller bagとはこの子の事だろう


この子を英語でローラーバッグというみたい。知らなかった


「持ってる」は「モテる」にしか聞こえなかった。


「sorry my dad driving car(ごめんdadが車運転してる) だから歩いて家までいくヨ。」


「だっど?」


「dadはお父さんって意味デス」


なるほど!father(ファーザー)以外の言い方があったことを教えてもらった


「です」を死を意味する「デス」みたいな言い方できることもついでに教えてもらった


フランスは日本語を(ちょっとおかしいが)話せる


これは日本語を混ぜながら英語を教えてもらえるし、新しい日本語の使い方も教えてもらえる


もしかして最高のシチュエーションではないか?


もちろん僕の利益だけではなくフランスが日本語を学びたいと思ってたら


お互いに学びたい言語を学べるlanguage exchange(ランゲージエクスチェンジ)ができる


できることならお互いの話せる言語を学びあいたいな


そんな小さな野望を抱えながらフランスの家に着いた。


「Here is my home」(ここがうちだよ)


立派な家でまるで実家みたい。



まって


この一軒家は確実に実家じゃないの?


さっきお父さんが車運転してるから歩いて行くって言ってたのは


父親に車を貸してるわけじゃなくて、元々からフランスのお父さんの車で


もしかして、今日から僕が住める家はフランスの実家...?


6月の少し冷たい風にあたりながらも僕は額に少し生温かい汗が浸った


「クツはentrance(玄関)でヌいてね。」


フランスの言ったヌいては少し、かなり意味が変わる。


僕はちゃんとした日本語をフランスに教えてあげたいと


教えなければ色々な誤解が生まれると危惧した


僕は玄関でヌいた。靴を


家の1階は駐車場になっていてフランスは

そのまま2階に上がって行き、僕は彼の後を追う。


廃墟とかじゃなくて家族がいる普通の家で


ただいまも、おじゃましますも、なんも言わないで入るのは変な感覚


そのまま階段を登っていき、登り終えた先にはキッチン


そこには料理をしている女性の後ろ姿があった


おかしいな


フランスの彼女にしては老いた背中


僕のさっき思い浮かんだ予想どおりなら


おかしくないな


そして、フランスは紹介してくれた。


「私のオカンデス」と


やっぱりか...


「オカン」という謎な関西弁の母の呼び方も

「デス」の言い方にもツッコみを入れられず


さらに「how are you ?」も言えずに、ただ棒立ちで現実を飲み込むのに精いっぱい


僕はなんとか飲み込んだ。


これから、初対面の人の実家に暮らしていく現実(リアル)を

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