初めての海外の一軒家

お昼には迎えに来るとのことで僕は楽しみに待ち合わせ場所に向かった。


何台か車が止まったがBOSSではない(雇い主の事をボスと呼ぶ)


僕は何となくBOSSをBOSSNの缶コーヒーのおっさんを妄想してた


ブブブーーンッッ!!


軽トラならぬ中トラが近くに止まり車の扉が開いた。


中から降りてきた背の低い老人が辺りをきょろきょろしてる


そして、きょろきょろしてる老人を見ている僕と目が合った


たたかう バッグ

ニンゲン にげる 

         ↖ カチッ


心のまなざしのせいか逃げることはできなかった。


「君がメールの子?」とBOSSNの缶コーヒーのような髭の老人に話かけられた


「はい。メールの奴です。あのリフォームの方ですか?」


「そうだよ、よろしく。車で1時間くらいは仕事場までかかるから買うものとかあったら今買っておいで」


「あ.. 買ってくれる訳じゃ....」


「えっ、なんか言った?」


「あ、いえ、買うものあったなって、行ってきます」


心の声は突き抜けてただの声になっていた。


気をつけなければ...


制限時速100kmで車を走らせられる田舎道


様々な色で作られてた景色が徐々に緑色や茶色に色を変えた

窓を開けて吸った空気も澄んでいる


初めて触れる海外の田舎の景色は日本の田舎道と違い

舗装されている道の外側はコンビニくらいの高さの山みたいなのが

ぽつぽつとチェスの駒みたいに置かれている


でも圧迫感を与えない拓けた景色でフロントガラス一枚介して見ていても気持ちの良いものだった


ボスが言った通り1時間くらい車を走らせて家についた


親方が車を駐車させながら

「ここがわしらの住む家だよ。土足厳禁だから。」という。


「了解しました!」と僕は答えた


車のキーを抜いてから「あ、あと俺のことは親方って呼んで。

建築系の仕事で上の人のことそう呼ぶから」と言ったから


「あ、はい親方」と僕は気の抜けた返事で返した


車から降りて今日から住む家を見てみると


立派な平屋の一軒家


少しぼろいし庭の手入れが鳴ってないような気もするが

一軒家、一軒家だぜ?


少し興奮して鼓動も少し早くなる


そいや周りの家もやっぱり平屋だ


車の中で親方が言ってたけど、ニュージーランドでは2階建てにしないで

1階でたくさんの土地を使うらしい。なぜだろう?


ちょっとした疑問だったが親方が家の鍵を扉に指して僕の興味は家の中の作りに移った


ガチャっ


親方が扉を開ける


「あれ、割ときれい」


外見のイメージのせいか玄関から見る家の中は割ときれいに見えた


「土足厳禁だけど玄関みたいな仕切りないから壁の近くに靴を置いて」


「はい。」と答えるが玄関がないのは不思議な感覚だった。


気になる家の作りは玄関から見て左側に3部屋が集まり、その近くにお風呂場とトイレがある。


玄関入って右側には大きなリビングとその横に洗濯物を干す部屋、その部屋の後ろ側には洗濯機が置いてある小さな場所


小さな場所の横にはおっきなカウンターのようなキッチン


四角形の4つの点のように部屋と部屋がつながっている


部屋は3か所あるうちの1番大きい所を使わせてくれるらしい。


「ここが君の部屋ね。なんもないけど自由にしていいよ」


畳13畳くらいはありそうな広い部屋、埃っぽいしなんもないけど

けど昨日のバックパッカーよりかは全然マシ


マシだが


あれ..壁をよくみてみると


...


部屋の壁をみて言葉を失った。


壁が黒く汚れていてる


この汚れ方には規則性がなく所々は深い黒ずみ

部屋に汚さも合わさってこれだから

ダイイングメッセージと言われても信じてしまうだろう。


怖い、恐すぎすぎる。


「え、ここに一人ですか、恐いんで、親方一緒に寝てください」 「ムリ」


この二文字のレスポンスの速さには、光年という単位を使ってもいいかもしれないくらい速かった。


男に初めて「一緒に寝て」って言ったのにネガティウな答えが返ってきた


僕はこの怖い部屋の中、1人で初夜を過ごすのだった。

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