現実逃避で国外逃亡(2)

少々ではない時間が過ぎて


受付の人は口を開いた。


「あちらの大使館の方と連絡取れましたよ。


VISA取れたら大丈夫だと、でも...」


[でも...?]


「フライトの時間もありますので


10分くらいでVISAを取らないといけません...」


え、不可能じゃない...?


そんな言葉が脳裏から脳表までにもよぎった。


まず、VISAの取り方わからないし


10分しかないし、英語読めないし


まじでどうしよう。


まぁ、とりあえずやってみるか。


......


何とかサイトを見つけ、

後は必要事項を入力するだけだったが


時計を見てみると...


既に8分経過していた。


「お客様そろそろお時間ですが大丈夫そうですか....?」


「大丈夫じゃなさそうです...」


「そうですか... 残念ですが...

そろそろ搭乗の時間を閉め切らせて...」


「.....」


友達の笑い声と共に出国する夢は去っていった。


忘れ物がなく、完璧だと思っていたのに

オーストリアラリアのVISAが必要だなんて...


僕を置いて、飛行機は飛び立ってしまった。


飛行機は行ってしまったが、出国に必要なオーストラリアのVISAをなんとか取って、新しい飛行機も翌日に取れて


なんとか国外逃亡する準備を、グランドスタッフの人と共に目論むことが出来た。


「今日はニュージーランドじゃなくて、温泉に行って涙と背中を流すか?どうせ家帰る以外何も予定ないだろ?」


落ち込んだ僕に一人の優しい友達、もりは声をかけてくれた


「行きたい。愛してる。oh my friend。 」


なんも予定のなかった僕だったので

もりと温泉に行けることに、これは嬉しい。


まだママに「ただいま」って言いたくない。


他の友達は他の予定を立てていて帰ってしまった。


それもそうだ。見送りに来た奴と一緒に遊ぶなんて考えもしないだろう


僕は体中から涙を流しながら

半分死んでいる状態でチェックインカウンターを後にし、もりの車に乗り込もうとする


んっ?


もりの車のフロントガラスに何かある。


そこには「駐車禁止違反」と書かれた黄色い紙が貼られていた。


もりは数十分で見送り終わると思っていたため

ロータリーに車を止めいていた。


出国できない騒動(僕のせい)で長引いて

小一時間近く、ロータリに止めることになってしまってた。


「Im sorry。oh my friend 。」


もりのあの苦い顔はとても忘れられない

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