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 ――その頃、リッテル辺境伯軍は。


 荒原の出口に近づいてきたところで、リッテル辺境伯は丘陵の先に煙が複数上がっているのを発見した。


 それを見て、辺境伯は早馬を走らせる。


「アルザス軍です! 丘の先にある林を抜けたところに、横陣で布陣しています」


 先遣隊のリーダーがリッテル辺境伯に報告する。


「わざわざ、煙を立てて、居場所を知らせるとは」


 辺境伯はヒゲを撫でながら部下に言った。

 すると、部下が問ひ返す。


「潜んでいれば、奇襲をかけられたかもしれないのに、なぜあんなに堂々と」


「おそらく我々にそれがバレていないと見て、もっと多くの人数がいると錯覚させるために、わざと煙を立てているのだろう。こちらをビビらせるためにな。だが、そうはいかないぞ。奴らは総勢五千人しかいないと言うことはわかっている。」


「なるほど。では、すぐさま突撃しますか」


「もちろんだ。すぐさま軍を横陣に展開。まっすぐ突っ込むぞ」


「承知しました、閣下」


 ――こうして、リッテル軍一万とアルザス軍五千が合間見える。

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