119話 転校生

「おい!あの美少女誰だよ」


「金髪.......外国人か?」


「きょ....巨乳だと!?」


「美女の案内とか羨ましすぎる!」


 サラと一緒に登校したあと、職員室まで案内をすることにした。


 転校生である為、これから先生の所に行かなければならない。クラスを知る必要があるからだ。


 さっきから、ひっきりなしに視線を感じる。主に男子生徒の嫉妬の視線を。


 一緒に美少女サラと歩いている俺を、嫉妬の対象として見ているのだろう。


 綺麗な金髪のロングヘアーに、大きな金色の瞳。


 整った顔立ちで、制服越しからでも分かる巨乳に、くびれた腰。


 男子生徒が振り向かないハズが無かった。


「ちょっとあんた!どこ見てるのよ!」


「痛てっ」


 現に、カップルと思わしき生徒が楽しそうに会話をしていたが、目の前をサラが通り過ぎると男子生徒は見惚れて釘付けとなり、彼女に怒られたりしていた。


 ご愁傷様。


 なんて思っているのも束の間で、あっという間に職員室についた。


「すいませーん。2年の秋山シンジです。山田先生いますか?転校生が来ました。」


 扉をノックして、サラの代わりに職員室全体に聞こえるように言った。


「なに!?」


「おい!もう来たぞ!」


「丁寧にお迎えしろ!」


「フィード家の人間だ。粗相なことは絶対にするなよ!」


「当たり前よ!この学校にいくら寄付して貰ったと思ってるの!?」


「15億だろ!?知ってるよ。」


 すると、急にざわめきだす先生たち。


 ああ、なるほど。


 爺さん。あんた、この学校に寄付したのか。それも多額な金額を。


 だからみんな慌ててるのか。やり過ぎだろ・・・


 その場の会話だけで、慌てている原因を察していると、英語の先生が来た。


「ハ、ハロー。マイネイムイズー」


「日本語で大丈夫ですよ。」


 緊張をしているのか、カチカチになって先生が挨拶をすると、笑顔で答えるサラ。


「な!?」


 先生は驚愕した顔を見せていた。


「じゃあ、あとは頼みます先生。」


「あ、ああ。」


 その顔には、日本語を話せるのか!?といった表情を貼り付けている。


「じゃあなサラ。何処のクラスになるか分からんから、昼休みには、2年A組に来てくれ。」


 サラは、きっと1年のクラスになるだろう。俺より年が1つ少ないからだ。


 それに、サラの知らないクラスを1つずつ探すよりかは、2年の教室に直接来てもらった早い。


 まぁ、魔力感知や気配感知などで直ぐに探し出す事は出来るから、最悪の場合はこっちから迎えに行こう。


 というか、日本って飛び級が適用されるのだろうか?


 サラの学力では、高校レベルなんて楽勝だ。


「分かりました。


 多少の疑問を持ちながらも、その言葉を最後に、その場から立ち去る事にした。


「兄さん!?」


「おい。どういうことだ!?もう1人いたのかフィード家の人間が!」


「いえ、この学校にはフィードの付く人物はいません!」


「一体どういう関係なんだ。」


 後ろからは、先生たちの慌てた様子が聞こえるのだった。




 ★☆★☆


「えー。ではHRを始めます。」


 教室につくと、すぐにホームルームが始まった。


「今日はちょっと遅かったねシンジ君。」


 席につくと、後ろの席から声をかけられる。美香だ。


「ん?ああ。職員室に寄ってたんだ。」


「え?どうして。」


「今日は、サラが転校する日なんだよ。」


「ああ。なるほどー。」


 後ろに振り返り、質問に答える。すると、どこからか視線を感じた。


 視線の主を見つける。それは狂歌だった。


 羨ましそうにジーっとこちらを見つめてくる。


 俺の後ろに美香がいるから、いつでも話せる環境に羨ましがっているのだろう。


「えー。では、転校生を紹介します。入ってきなさい。」


 狂歌を見ていると、いつの間にか転校生が入ってくる流れとなっていた。


 ん?転校生?


 外からは、さっきまで一緒に居た人物と同じ気配がするが・・・


 もしかして・・・


 ガラガラガラ


 教室の扉を開くと、金髪を煌めかせながら入ってくる人物。


「うわー。綺麗ー」


「美少女きたー!」


「モデルさんかな?」


「うおおおおおおお。女神降臨だあああああ。」


 それと同時にざわつくクラスメイト達。


「コラッ。静かにせんか!」


 数秒後には先生によって静かにさせられたが、美少女が来たことによって男子達は鼻の下を伸ばしまくっている。


「アメリカから来ました。サラ・フィードです。よろしくお願いします。」


 気が付けば、サラは俺と同じクラスになっていたのだった。

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