19話 脅迫
触手野郎を倒した後、ヒーロー達に囲まれた。
ざっと20名といったところだろうか。
一斉攻撃しようとしてきたので降参のポーズをした。
勝てないと思ったからそうしたのではない。
ただ、相手をするのがめんどくさかったただそれだけだ。
こちらの降参ポーズに関係ないとばかりにヒーロー達は攻撃してきた。
魔力で障壁を作って防御しようと思ったが必要なかった。
狂歌と美香が変身した状態で魔力障壁をはってくれたからだ。
攻撃を一切通さず守り切ってくれた。
「ありがとう。」
とりあえず感謝を言った。すると
「あいつら殺してやるわ。」
「うちも加勢するよ。」
殺気を込めながらヒーロー達を睨む2人。
「おい。殺すなよ。面倒なことになるからな。」
今にも皆殺ししようとしている狂歌と美香を止める。
「分かったわよ。しょうがないわね。」
「...了解。」
渋々納得してくれた二人は物凄い速さで移動した。
あっという間にヒーロー達全員を無力化した。
俺は陰からカメラで撮影している団体に目を向けた。
戦闘中から撮影されてることには気付いていた。
しかし、触手相手に手一杯でどうすることもできなかった。
だから無視してた。だが丁度いい。
こいつらが撮影してるのならヒーロー協会の人間は見ているはずだ。釘を刺しておこう。
俺は変身している2人を連れて撮影団体の前まで行く。
どうせ素顔がバレているのだ。もうかまわない。2人は後ろで待機している。
リポータの人は恐怖していた。分からなくもない。生きたまま魔物を捕食したからだ。恐怖するのも無理はないだろう。
俺はカメラに向かって語り掛けた。
「見てるんだろヒーロー協会のお偉いさん達よー。こっちが下手にでたら調子に乗りやがって。殺したらめんどくさいことになるから、あえて降参ポーズをとったんだ。その意味をよーく理解しろよ?『なりかけ』ごときに最強であるS級ヒーローが勝てなかったんだ。お前らが俺に勝てる訳ねーだろ。」
俺は、カメラの向こう側の存在に語り掛ける。
「最後に忠告だ。次、ヒーロー共が攻撃を仕掛けてきたら容赦なく殺すからな。たとえ攻撃してきた奴が女であろうと子供であろうと関係ない。俺の目的はただ1つ。魔物を狩ることだけだ。分かったか?次から邪魔はするなよ。」
そう言い残して俺は『
★☆★☆
ウイリアム・フィード視点
『ま、まさかあれがシンジじゃったとはな。』
『兄さん...』
シンジの変貌に驚く二人。
心配になったウイリアムはシンジに電話することにしたのだった。
★☆★☆
神崎大和視点
目覚めるとベッドに寝ていた。
「あ?どこだここは。」
起き上がり、周りを見渡す。どうやら病院のようである。
隣のベッドはカーテンが仕切られていて分からなかったが、ほかのベッドは様子を見ることができた。
20名くらいヒーローが寝ている
腕に痛みと違和感を感じた。見ると点滴がされていた。
そして思い出した。自分が魔物と戦っていたことに。
「し、静香。どこだぁあ。静香。」
「やっと起きた?っていうか、うっさいのよ。あんた。ここ病院よ。静かにしてくれる?」
横のカーテンの仕切りから静香が顔を出した。
「お、おまえ腕はどうなった。平気か?」
「平気よ。複雑骨折しただけ。数日もすれば魔力で治るわ。」
そういってギプスをした腕を見せる静香。
「魔物はどうなったんだ?俺たちが病院にいるってことはー」
「倒されたわよ。黒騎士にね。ほら動画あるわよ。」
そういってタブレット端末を渡してくる静香。
「な、なんだとおお。」
急いでタブレット端末を奪い、動画をみる大和。
そこには自分たちが敵わなかった敵を上下に一刀両断する黒騎士の姿が。
生きたまま捕食する動画や、攻撃を仕掛けてきたら殺すと脅してきた動画もあった。
「まじか...強いな。」
「そうだね。」
2人とも悔しいのか手を力強く握りしめていた。
「次は負けないようにしような。」
「...そうだね。」
2人は心の中で、もう次からは絶対に負けないと決意したのだった。
★☆★☆
カメラに向かって脅しをした後、3人で家に帰った。
今後ヒーロー協会がどう対応するか見物だな。
このまま忠告を無視して、攻撃を仕掛けてくるのなら壊滅させてもいい。
上級に進化した俺は、魔力量も格段に増えた。三人の『なりかけ』がいればきっとできるだろう。
そう思っていると、
携帯の電話が鳴った。俺は2人に『電話』といい席を外した。
『し、シンジか?ウイリアムだ。ニュースみ、みたぞ。』
電話越しでも伝わる緊張感。まだ受け止めきれないのであろう。
『あぁ。じいさんか。どうしたんだ?』
『ヒーロー協会に喧嘩を売ってどうするのじゃ。不味いじゃろ。いくらシンジが強くとも、大勢のヒーローを相手には-』
言いずらそうに口ごもるじいさん。
『勝てない。か?大丈夫だ。仲間はいる。俺一人だけじゃない。安心してくれ。』
『う、後ろにいた2体の仲間か。』
『あぁそうだ。ヒーローだろうが魔物だろうが大丈夫だ。だから安心してくれ。』
『う、うむ。じゃがな。』
(相変わらずの心配性だな。じいさんは。)
『だったら、サラも一緒にいさせてはくれぬか?』
『は?何言ってんだじいさん。』
『お主なら、ヒーロー相手にも勝てるのじゃろう?だったら安心じゃ。何があってもサラを守ってくれると信じておる。』
突然提案をしてきたじいさん。
『わしはのぉ。もう充分生きた。いつ死んでもおかしくはない。じゃがのぉ。わしが死んだあとサラはどうなる?一族ではないサラは肩身思い生活をすることになるはずじゃ。一族に利用され、望まぬ相手と政略結婚させられることになるじゃろう。それでもお主はいいのか?』
確かにフィード家は世界有数の資産家ではあるが、親戚全員がいい奴とは限らない。金にがめつい奴だっている。サラに政略結婚させ、自分たちの利益となるようにする奴だっているだろう。全員がじいさんのように良い人ばかりではないんだ。
『理由は分かったが、サラは納得してるのか?』
そう言うと、電話相手が変わった。
『に、兄さん。サラです。』
『俺なんかでいいのか?化け物なんだぞ?』
『知っています!それでもそばにいさせてください。何でもしますから。だから兄さんおねがい。そばにいさせて!』
サラの決意が伝わってくる。
『分かった。今から迎えに行く。場所はどこだ?』
電話越しでサラが喜んだのが分かった。
『新宿のホテルです。入口で待ってます!』
俺は
1分くらいだろうか。走っていたらついた。
『兄さん。』
俺に気付いたサラが胸に抱き着いてきた。
『サラを頼むぞ。シンジ。』
じいさんが真剣な眼差しで見つめてきた。
じいさんの真剣な顔初めて見たな。
『あぁ。分かった。サラは俺が守るから安心してくれ。』
俺も真剣に言う。なぜかそうしなければいけないと思ったからだ。
『任せたぞ。シンジ。』
そういってじいさんは戻っていった。
俺は、サラをお姫様抱っこする。
『しっかりつかまってろよお姫様。』
そういうと赤面するサラ。
俺は家まで
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