第179話
俺はスマホを操作し、初白に電話を掛ける。
『はいもしもし? どうしたんですか先輩?』
「あぁ、お前明後日暇か?」
『え? まぁ暇ですけど……いきなりなんですか?』
「いや、実は無人島に行くことになってな、お前も来ないか?」
『へ!? 無人島? 何でですか?』
「まぁ、いろいろあってな……城崎さんや高弥も来るがどうする?」
高弥が居ることは事前に伝えておかないとな。
後々トラブルになっても困るし……。
『行きます!! そのメンバーなら行きます!!』
「あぁ来るんだ」
『なんですかその言い方!』
「いや、高弥が来るからてっきり来ないかと……お前振られたばっかりだし」
『女の恋愛は上書き保存なんですよ! さっさと次の恋をしないと!』
「あぁ、そうかよ。じゃぁまぁ詳しくは明日連絡すっから、それじゃぁよろしく」
俺はそう言って初白との通話を切った。
これで計9人、光音と山ノ内さんを入れると11人か……なかなかに大人数の旅行になるけど、本当に大丈夫なのだろうか?
「さて、俺も準備をするか」
俺はそんなことを考えながら、クローゼットを開けて旅行用の鞄を探し始める。
*
「平斗」
「なんだよ高弥」
「最近僕の出番少なくないかい?」
「なんだ出番って?」
二日後の早朝、俺や高弥を含めた旅行メンバーは俺の家に集まっていた。
なんでも高柳家の人が迎えに来てくれるらしく、集合場所が俺の家になったのだ。
「しかし……これだけ人数が集まるとすごいな」
「そうだね、それに結構女子が多い気がするけど?」
「大体半々くらいだろ? 男は四人、女は七人だ」
「全然半々じゃないよ、女子が倍近くいるじゃないか」
「まぁ、別に問題ないだろ?」
光音は女子だし、同性との方が友人になりやすいだろう。
俺と高弥がそんな話をしながら周りを見ていると、初白が茜さんや真奈美さんに挨拶しているのが見えた。
なんだか楽しそうに話をしているし、無事に仲良くなれているようだ。
まぁ、あいつは結構コミュ力高いしな。
「兄貴おはようございます!!」
「島並さんおはようございます!!」
「おう、お前ら朝から元気だな」
「はい! 昨日は楽しみで眠れなかったです!」
「子供か! 目の下のクマがすごいことになってんぞ!」
そう言う大島の目の下には大きなクマが出来ていた。
まさか悟も?
なんて思って見たら案の定、悟の目の下にも大きなクマが出来ていた。
「はぁ……悟、お前もか」
「いえ……お、俺のは……香奈が……」
「ん? なんかあったのか?」
「明日着ていく服が決まらないとかで、夜中まで電話で相談を受けて……」
「お前も結構苦労してんのな」
彼女に付き合ってたのか……じゃぁなんで香奈の顔色はあんなに良いんだ?
「兄貴! 夜は人狼ゲームしましょう!! 俺持ってきたんで!」
「馬鹿! 夜は全員で人生ゲームだろ!」
「あぁ!? 人狼だろ!」
「人生ゲームだ!」
こいつらかなり楽しみにしてたんだな……まぁ、夏休みだしこういうイベントも悪くないな。
「おい平斗!」
「ん? なんですか茜さん?」
「あの初白って子、なかなかいい子だな!」
「あぁ、そうですか……お気に召してもらえてよかったっす」
正直、茜さんと初白は混ぜるな危険の組み合わせだと個人的に思っているのだが……。
「先輩!!」
「今度は初白か……なんだよ」
「茜さんの着替えを覗いたって本当ですか?」
「ぶふっ!! きゅ、急に何を言ってんだよ!」
「だって茜さんが言ってましたよ? あと先輩最低ですね」
「ニコニコしながら傷つくことを言うなよ……何を聞いたかわからんが、それは誤解だ。俺が覗きなんて……」
するわけがない、そう言おうとした瞬間。
俺は昨日の城崎さんとの事を思い出した。
「あ、なんか考えましたね! 思い当たることがあるんだ! 先輩の変態! 覗きまぁ~」
「お、お前なぁ!」
「きゃー変態が怒ったぁ~」
「たまに会ったと思ったら失礼なことばっか言いやがって!! 今日は許さねぇぞ!!」
「いやぁ~汚されるぅ~」
「誰がお前みたいなアホに手を出すか!」
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