小学校の友人の話

小学校時代の友人に会いたいと、常々思っている。




私は小学校を卒業した後、今住んでいる場所に引っ越してきた。白石区から中央区という市内の引っ越しなので、ものすごく遠い場所ではないが、もちろん中学校に行ったら友人関係は全く違うものだった。

ポイントは、当時、親から「友達とかクラスの人々には引っ越しすることを伝えるな」といわれていたことだ。私はその約束をド真面目に守って、誰にも告げず、引っ越してきた。友達はたぶん当たり前のように、中学校に行っても私が一緒であろうと思っていただろう。私は、別れなければならないことそれ自体はもちろん、それを抜きにしても、せめて別れを告げられなかったことを残念に思っているのかもしれない。




とはいいつつも、小学校の友人たちに対しては、複雑な思いがある。楽しい思い出も苦い思い出も両方あるから、一緒に中学校に行けていたとしても、良い関係でい続けることができたのかは不明だ。




複雑な思いってのはこんな感じである。




小学校4年までは、仲良しな友人たちほぼ全員とクラスが一緒で、毎週遊んだり、学校での作業など(例えば図工)も「一緒にやるべ」といって一緒にやっていた。「○○係」というような係の制度が小学校ではあったが、それも男女関係なく仲良く一緒にやっていて、とてもとても楽しかった。




しかし5年生になって、友人のうち数人が違うクラスになってしまった。私が特に仲良くしていて大好きだった友人2人は、女の方は同じクラス、男の方は違うクラスとなった。




前者の子は、私よりも他の人(その中には私の苦手な人もいる)と仲良くしていて、入る隙がなかった。思春期に入ってくるのでグループ化が進行して、その仲良しな友人はあるグループへと入っていき、私は今までのような分け隔てない友情からの変化が嫌だったので、フラフラとして皆とつるんでいた。




後者の子は、クラスが変わったこともあるかもしれないが、これまた思春期が始まったのもあるのか、私によそよそしくなった。男子同士でのみつるむようになっていた。それが当時の私にはとても悲しかった。




今日、夢を見た。

そんな大好きだった友人2人と私の3人で、久々に一緒に遊んでいた。

実は先日もこういう夢を見ていて、その続きという感じだった。前回はただ会って終わったが、今回は一緒に公園の遊具で遊んだり、友人たちの課題(なぜか中学1年生の数学だった)を私が手伝ったりしていた。




その中で、私は告げた。「小学校を卒業した後皆と別れてとても寂しかった」と。そしたら友人は何ともいえない優しい表情をしてくれた。でも何を言ってくれたのかはわからない。夢はそこで終わり、私は一旦目を覚ました。




まだ夢を見ていたかったので、もう一度眠りに入ると、今度は中学校で、先ほど出てきた友人2人のうち男の方と隣の席になっていて、私は転校生1日目で何もわからずホームルームを聞いているという状況だった。(その学校特有の)わからない単語が出てきて、隣の友人に聞いてみたところで、…




……10時半だ。そろそろ起きないと。




ということで起床。楽しくて愛おしい夢だった。




さて、現代は、ツイッターなどSNSが発達しているし、小学校のまあまあ仲良かった友人とは高校などで再会したため、連絡をとることはできる。なので、私が会いたいと思っている友人たちに会うことは、決して難しい話ではない。というか可能であろう。




では私はなぜ行動に起こさないのか。いや、怖いから起こせないのである。




実は私は小学校時点で彼らに嫌われていたかもしれない。

私は、誰が誰を嫌っているという話にとても疎い。小学校でも中学校でも、クラスの中でのトラブルに気づかないまま卒業近くまで過ごしていたりした。小学校では、普通に私は(友人として)好きだと思っていたし普通に話していた友人が、周りからは結構嫌われていた(しかも周りも普通にその子と話していたのに!)という話を聞いて、ゾッとしたこともある。普通に良い子やんけ…?今でも疑問である。

その「周りが結構嫌っていた」という話が嘘の可能性もあるが。

とにかく、「実は私も嫌われていました!」という可能性は、なくはない。私の小学校時代の友情が幻想だったという可能性は、なくはない。




そうでなくても、彼らはそこまで私に会いたいと思っていないかもしれない。連絡をとったところで、再会したところで、彼らにはそこまで感慨深くはないかもしれない。




これらの可能性は、確かめてみなければわからないものではあるが、もしそうだったら怖いということで、私は行動に起こせていない。




でも会いたいなあ。いつか自然な形で、どこかで再会できたらいいなあと思いつつ、今日も白石区東札幌に想いを馳せる私である。

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