第12話 メディペドの地下室
地下室に続く階段を降りると、そこには真っ白の長い廊下が続いていて、等間隔でドアがあった。1つのドアを覗き見ると、真っ白な部屋がただあるだけだった。8m四方ほどの大きさの部屋。一体何の部屋なんだろう……
中に入ってみると、洗浄液の匂いがする。部屋全体を洗浄したみたいだ。まるで洗浄する前にあった出来事を隠すかのように……
好奇心で入ってしまったけど、不用意に動き回るのはマズイ。セキュリティルームを探さなければ!
ただ、ひとつひとつの部屋を確認していくには時間がかかりすぎる。エコーロケーションを使うか……
ドラキュもん 陰キャ術 その2
"エコーロケーション"
自然界のコウモリが音波を発し、その反響音から周辺構造を把握するのと同じ行為。
陰キャラのドラキュもんが、できるだけ大勢の人がいないところを通るために体得した。ドラキュもんはチッチッチッといったクリック音を出し、その反響音で周辺の状況を把握できる。把握できる範囲は100mにも及ぶ。ドラキュもんが地獄耳を持ってるからこそできる技。コウモリ型ロボットのセバスちゃんが師。
チッチッチッチッチッ
僕は舌を鳴らして、反響する音を確認する。よしっ反響音から地下室の構造を把握できた。地下は一階だけだと思っていたが、また下の階があるみたいだ。セキュリティールームらしき部屋は……廊下の一番奥の部屋だな。
急ぎ、セキュリティルームに向かう。この廊下やけに長い、1kmぐらいある。セキュリティの解除に失敗したら逃げ切ることは不可能だな。
午後6時
セキュリティルームについたけど、
中に人がいる。
中に突入する前に、セバスちゃんに連絡を取ろう。
……つながらない。
地下には電波が届いていないのか。セバスちゃんを呼び戻ろうと思ったけど仕方がないな。
1人で処理するか……僕はビリビリくんを片手に持ち、セキュリティルーム入る。
瞬間、ものすごいスピードで拳が飛んでくる。その拳をビリビリくんで受けながら、電気を流す。
よしっこれで一丁上がぼけ!!小さい飛行物体がぶつかってきた。体勢を崩された。!牙らしきものが、僕の腕に喰い込む。くそっ!牙から液体が体に入り込んでくる。
毒か!!体が痺れて動けない。
その瞬間、僕は羽交い締めにされた。
振りほどこうにも、体が痺れて、身動きが取れない。
苦しい……
このまま、毒が体に回ったら終わりだ。
失敗か……
やっぱり僕なんかが誰かを救うなんて出来ないんだ……
シオン、リリス部長ごめんなさい。
悔しい……
………
…
「ドラキュもん何やってるの?!」
この声はリリス部長!拘束が少し緩む……なんでこんなところにいるの?まさか敵のスパイだったの!?
「ドラキュもん。私の問にだけ答えなさい。じゃないとあなたを殺すわ。YESなら首を縦に振り、NOなら首を横に振りなさい。わかった?ちなみに私に嘘は通用しないからね」
逆に僕が疑われている!僕は首を縦に振る。
「こっちに顔を向けなさい」
僕はリリス部長に目線を向ける。リリス部長の目が金色に光ってる。僕の目を観察してるようだ。金色に光る目なんて初めてみた。リリス部長は何者なんだ……
「あなたはシオンを助けにきた?」
僕は首を縦に降る。
「怪しいものね!」
ええ〜じゃあ、なんで聞いたの??真実です。
「私に会えて、嬉しい?」
もちろんですとも!僕は全力で首を縦に振る。
「そう……なんで、一人でこんなことしてるの?私のことを気遣ってたの?」
そうだよ。リリス部長を危険な目に合わさたくなかったんだ。僕は首を縦に振る。
「嘘はついていないようね。本当に馬鹿なんだから」
そういって、リリス部長は僕を開放してくれた。目の色も普段の黒茶色に戻っていた。羽交い締め気持ちよかったな。ちょっと名残惜しい……
「ドラキュもん。羽交い締め気持ちよかったな。ちょっと名残り惜しいとか考えてる。いいねちゃん!御見通し!」
せっかく良いシーンなのに、心の中のこと言わないでよ!実際、思ってたけど……
あっリリス部長が蔑んだ目で見てくる……恥ずかしい。消えてしまいたい……
さらに、いいねちゃんが僕の腕を噛んで、解毒してくれてる。これはやばい。気持ちよくて恍惚の表情になってる。あー気持ちいいー
蔑んだ目で見られてるのに、恍惚の表情をしているなんて、これでは変態だと思われる!
注意を反らさなけば……
「いいねちゃんが僕を攻撃してきたんだね……なんで!それとリリス部長がメディペドに来るんだったら連絡してきてよ!」
「ドラキュもんから頼まれてたのは、リリス部長の監視と警護だったから、いいねちゃん。それ守ってたのに……」
あっいいねちゃんは、僕の指示を忠実に守るんだった。セバスちゃんは自由すぎるから忘れていた。いいねちゃんは、まともなAIですよね……そう思うようにしよ……
「ごめんごめん。ありがとう。リリス部長を守ってくれて」
「反省してるならいいよ!いいねちゃん。リリス部長守った!」
「ぬいぐるみだと思ってたけど、本当に動くのね……」
リリス部長はびっくりしている。
「びっくりさせてごめんなさい」
「ドラキュもん。やっぱり友達がいなくて、AIの友達を作ったのね……」
AIとわかってもらえても、僕の友達いない認識は揺るがない。否定したいけど、事実だから仕方がない。
そんなことより……
「リリス部長。なんでこんなところにいるんですか?」
「もちろん。シオンを助けに来たのよ。不甲斐ない部下はひきこもりに夢中だったから」
そういってリリス部長は胸を張った。リリス部長はすごいな。
「リリス部長。危険です。後は僕がシオンを助けるので帰ってください。これ以上、迷惑はかけられません」
「気を使ってくれてありがとう。でも、私も責任を感じているの。それに格闘技は自信あるのよ」
そういって、床に倒れている2mほどの大きさの自動迎撃ロボットを指さした。リリス部長が倒したんだろう。ちょっと自慢げだ。ただ、ロボットをよく見ると無数の切り傷があった。いいねちゃん影でが手助けしてたんだろう……
「それに、さっき私と戦ってあなた負けてるじゃない?」
それは、おっしゃる通りです。危険だから帰ってもらいたいけど、これは何を言っても帰ってもらえないな……
「わかりました……でも、無理はしないでくださいね。それとサポートに回ってください」
「いいわよ。格闘なら任せなさい!シュッシュッ」
そういってリリス部長はシャドーしてる。すごい嬉しそう。
「セキュリティを解除しますね」
僕はセキュリティの操作パネルを操作し、僕のIDカードで全てのセキュリティをを外せるようにした。よし!戻ろう!
「僕のIDカードで全てのセキュリティを外せるようにしました。戻りましょう!」
「わかったわ。でも、この地下室なんだか不気味よね……この会社一体何をしようとしているのかしら……」
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