第5話 バカモン進化!
苦労してなんとか3人を遊園地に連れてきた。
「藤宮君、ところでここはどこなんだい?」
「七瀬、遊園地知らないのか!?」
なんと七瀬は遊園地を知らないらしい。
「ゆうえんち? すまない常識知らずで」
何? 七瀬ってお嬢様かなんかなの?
「絵梨ちゃん、遊園地知らないの!?」
「七瀬さん、遊園地ってとても楽しいところよ。特に絶叫系が…ぐふふ…」
水島、あんたからは違う楽しみが感じられるぞ。
「ぜっきょうけいとはそんなに楽しいものなのか、私も早く行ってみたいな!」
『キャー!』
「今、キャーって聞こえてるのが絶叫系に乗っている人の叫びだよ」
乗っている人の叫びってもっと他に表せなかったのか?
「何、ぜっきょうけいとは叫ぶものなのか!?」
叫ばなかったら絶叫とは言わんだろ。
「とりあえず、七瀬も遊園地初めてなんだし、全部のアトラクション乗ろうぜ」
「涼君の意見に賛成です」
今思ったが、なんで水島は俺だけ下の名前で呼ぶんだ?
「よーし、この遊園地のアトラクション全部制覇するぞ!」
相変わらず、元気がいい日奈子であった。
それから数時間、俺たちはいろんなアトラクションに乗り最後のアトラクションに行こうとしていた。
「これが遊園地なんだな! 私は特にじぇっとこーすたー?と言うのが楽しかったな!」
最後まで疑問形なのね。
「そうですよね! あの感覚はたまらないです!ぐふふ。」
水島の場合は違う感覚だろうな。
「私は絶叫系もう無理だよ〜、だから私は涼ちゃんと乗ったシューティングゲームが楽しかったな!」
別に俺は要らないだろ。それにこいつらは遊園地の楽しさをなんも分かっちゃいない!
「お前たちまだ甘いな、遊園地の醍醐味は観覧車だろ!」
そう、俺たちが最後になろうとしているのは観覧車である。
「さあ、着いたぞ!」
「テンション高いね、涼ちゃん」
おっと、俺としたことが失敗失敗。
「これがかんらんしゃ?なのか?」
やっぱり全部疑問形なんですね、七瀬さん。
「観覧車、良いですよね 一番上になった時の感覚が! ぐふふ」
水島、君にはこれもその対象なのか。
「とりあえず乗るとしようぜ」
先陣を切って俺が乗り込む、次に水島が乗り込み 次は七瀬が乗り込む…あれ七瀬が来ない。
「七瀬、どうしたんだ?」
「すまない、動いているものに乗るのはちょと怖くて… 足がすくんでしまった」
エスカレーターに乗れない子供か!
「待って! み◯!み◯! ああ!」
「パ◯モン!」
「み◯!」
やめろ!ここでデ◯モンネタを挟んでくるな!
〜無限大な夢の跡の〜♫
なんだ急に園内からBGMが…
「まさか七瀬が観覧車乗れないと思わなかった…」
それに日奈子は俺たちを追いかけ盛大にこけたしな。
「二人きりになっちゃだね、涼君」
唐突に話しかけられたので少し驚いてしまった。
「お、おう。そうだな…」
な、何を話せば良いんだ? そういえば水島と二人きりで話したことないぞ。
「涼君、あの時のこと覚えてる?」
水島が話を振ってくれて助かった。 あの時とは一体?
「あの時って?」
「涼君に私の秘密を知られた時のこと」
あの時か、そういえば水島ともそこで知り合ったんだよな、クラスメイトだって言うのに。
「あの時ね。 あの時はなんとも奇怪な出会いだったな」
そうあの時は、確か教室に忘れ物をして教室に取りに行っていた。
そして教室のドアを開けるとそこには縄で縛られていた水島が居た。
「大丈夫! 誰にやられたの!」
でも俺の心配もどこ吹く風。
「自分でやったのでお構いなく、あ、でも、縄を解いてくれると幸いです」
これが俺と水島の出会い方だった。 今思い返しても本当に変な出会いだった。
「あの時は、助けてくれて本当に嬉しかったんです」
「自分で縛ってたくせに」
「確かにそうですけど縄が解けなくて、このままみんなに見られて人生終わりだって思ったんです」
じゃあ、なんで学校でやったんだよ。
「あの時、助けてくれたのが涼君でよかったです!」
そう言うと水島は今まで見せたことのない笑顔を見せてきた。
おれはその笑顔を見た瞬間ドキッとしてしまった。
「約束は約束だし、ちゃんと守るよ」
なんかとても照れくさかった。
それからはお互い無言になりあまり景色を見れなかった。
観覧車は終わり、二人のもとに行くと未だ足がすくんでいるのかしゃがんだ七瀬と盛大にこけてまだ痛いのか泣いている日奈子がいた。
「戻ったぞ、二人とも」
「あ! 涼ちゃん!」
俺を見た瞬間、日奈子は俺に飛びついてきた。
「やめろ!くっつくな!」
俺が日奈子に気を取られている時水島は何かを言っていたが聞こえなかった。
「お似合いだね二人とも…」
それから俺たちは七瀬を家まで送り、途中で水島とも別れた。
「今日は楽しかったね、涼ちゃん!」
「そうだな。てか、大丈夫か膝?」
そりゃ心配はするあんなこけ方するんだから。
「大丈夫、へーき、へーき!」
「そうか、なら良いんだが」
そんな話をしていると家までついた。
「また明日ね、バイバイ 涼ちゃん!」
「またな」
日奈子が家の中に入るのを見て、俺も家の中に入ろうとしたが先に玄関が開き、中から人が飛び出してきた。
「会いたかったよ、涼くーん!」
「離せ、姉ちゃん!」
そう飛び出してきたのはオレの姉、藤宮 桜だった。
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