お題【深夜の公園】【噂話】

 近所に、噂話が本当になると言われている公園がある。

 深夜にそこに行き、「エンリョウサマ、エンリョウサマ、オミチビキクダサイ」という呪文を唱えてから、公園内の決まったルートを噂話をしながら回ると、その噂話が本当になるという。

 D組のアキナはそのやり方で片思いの彼と付き合うことが出来たらしい。


 その話は私も知っていた。

 でも、本当に深夜にこの公園に来るなんて思わなかった。


「エンリョウサマ、エンリョウサマ、オミチビキクダサイ」


「ね、本当にこれでいいのかな。ちゃんと効くのかな?」


 私がそう言うと、親友のユイカはテンション高めのガッツポーズを決める。


「こういうのは信じなきゃ叶わないって。で、噂話は本当に私が決めていいの?」


「うん。だって、誘ってくれたのユイカじゃん」


「よっしゃ。じゃあ、噂話するよ? コイバナもいいけどやっぱ金でしょ、金。アタシ、宝くじ当てたいんだ」


 私もユイカもテンションMAXではしゃぎながら、アキナに教えてもらったルートを回り始めた。もちろん、宝くじにあたるらしいよって噂話をしながら。そして、あそこに見えるベンチで最後だって時になって、ユイカが急に「ギャッ」って叫んだんだ。


「ちょっとぉ。変な冗談辞めてってばぁ」


 私がユイカの方を見ると、顔に急に熱くなってその後すごい痛みの中で気を失ってしまった。

 そして私は病院で目が覚めたのは、ユイカの葬式の翌日だった。


 公園の近所に住むおじさんが犯人だったらしい。

 私たちみたいに深夜に騒いでいた人を片っ端からバットで殴りつけていたおじさんは「夜中に騒ぐと襲われるという噂を流せば、うるさい連中は居なくなると思った」と供述したとニュースで流れた。

 その話が有名になる頃には、深夜にその公園へ行く人はぱったりと居なくなったって。




<終>

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