第4話
そうだ、靴も買おう。ごついスニーカーはワンピースにも季節にも合っていない。私は靴屋に入って、6月の天気に合う青い空色のサンダルを買った。
それから、久しぶりにレストランに入って、ペペロンチーノを頼んだ。口に入れるたびにわずかな吐き気が催したが、ぐっと飲み込んで食べた。
子供がわんわんと公園で泣いている、見ていると大人が一斉に寄って行った。大人が泣いたところで人が寄ってくることは普通ない。
(子供はいいな。)
大事にされ、守られ、気づくと放り出され、突然人は冷たくなる。まるで波のように押し寄せて来る水が足元までひたひたに私を濡らして、ぐしょぐしょと1日つまり朝から今まであった出来事を全部毛虫にする。
私は寂しくなってきて、早く彼に会いたくなった。時折私の部屋に来る彼は今はフリーターをしている。年は私の3つ上で24歳。
どーーんって。恋愛ってそういうものだと思ってた。小説でも漫画でも描かれているみたいに。火山の噴火。天変地異。昨日まで大好きだったグミとか茄子とか漬物とかが口に入んなくなって。入ったとしてもそれは体にとって異物と間違われちゃう。栄養もエネルギーも得る前にあの苦い、ザラザラとした粉の薬飲んだ時みたいにオエってきちゃうの。つまりそれぐらい大好きで。君以外何も頭ん中締められない。
身体も血管も細胞もまつげの先も細かくなってこなごなになった君が詰まって。それってもう私が君なのか、君が私なのかって感じのやつ。
でも、実際は違った。すっと心の中に入って来た。振り向いたら気付いた影みたいに。ずっと部屋に置いてあるくまの人形みたいに。湯たんぽみたいに。気づいたらそばにいてわずかな温度と勇気と当たり前をくれる。愛は君の代名詞になって、言葉はただの音になる。内包された意味だけが正しさを持つ。
ねこのひげが揺れる。げろげろ。恋愛なんて糞食らえだ。
死は基本せんしてぃぶな内容とされる。それは生きている人間全員に訪れるものだからかもしれないし、望まずそれを迎える人がいるかもしれない。死んでるより生きてるほうが良いとされるのは、死人に口なしで死んだ人は何も言わないから。生きてる人間が良し悪しを決めるもんだから、自分たちがいる方をよしとするの、かもしれない。
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